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2023 年度 実施状況報告書

mRNA封入脂質ナノ粒子を用いた局所特化型ゲノム編集法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K19432
研究機関長崎大学

研究代表者

神谷 万里子  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (40980975)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワードドラッグデリバリーシステム / 脂質ナノ粒子 / mRNA / ペプチド脂質 / ゲノム編集
研究実績の概要

本研究では、投与局所における標的細胞への取り込みを増強し、同時に肝臓への移行を減少させる局所発現特化型mRNA-LNP製剤の開発を目的とする。高い細胞結合性を示すペプチド脂質KK-(EK)4脂質をmRNA封入脂質ナノ粒子(LNP)へ修飾し、局所発現を増強する検討を進めている。
本年度は、KK-(EK)4脂質修飾効率の向上を目指し、現在のパルミチン酸2本鎖から異なる脂質へと変更した新規誘導体を設計した。この誘導体を固相合成法によって合成し、HPLCによる分取・精製を行い、MALDI-TOF-MSによって分子量が目的化合物と一致したことを確認した。これにより、KK-(EK)4脂質誘導体の合成に成功したことを確認した。
また、KK-(EK)4脂質修飾mRNA-LNP製剤の筋肉以外への適用の可能性について、腫瘍内投与を選択して検討した。Colon-26皮下腫瘍モデルマウスを作製し、腫瘍体積が一定に達したのち、未修飾およびKK-(EK)4脂質修飾mRNA-LNPを腫瘍内投与した。KK-(EK)4脂質修飾mRNA-LNP投与群では、腫瘍におけるルシフェラーゼ発現量は増加し、KK-(EK)4脂質修飾mRNA-LNP製剤は、筋肉以外にも適用が可能である汎用性の高い製剤であることを示した。
さらに、標的遺伝子に対して高い選択性をもつCRISPR/Cas9システムに必要なCas9 mRNAの鋳型プラスミドを作製し、転写したmRNAの鎖長を電気泳動にて確認できた。加えて、正常組織で発現するモデル遺伝子を選択し、これに対するsgRNAを設計および合成した。これらによって、mRNA-LNP製剤によってゲノム編集効率を検討する準備が整った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の目標であった、脂質鎖を変更した新規KK-(EK)4脂質誘導体の合成、筋肉以外への局所投与への適用、ゲノム編集用核酸の合成に成功した。これらの研究の一部を現在1報の論文として投稿準備を進めている。研究計画は目標通りであったが、投稿計画に遅れがあった。

今後の研究の推進方策

改良型KK-(EK)4脂質の開発については、複数の新規誘導体をmRNA-LNP製剤へ修飾し、in vitroでの細胞内取り込みおよび発現増強効果について検討を進めている。文献情報を基に脂質組成を変更した、短時間崩壊型mRNA-LNP製剤への修飾についても、同時に検討を進め、in vivoにおける局所での発現および肝臓への移行性を確認する予定である。
一方、モデル遺伝子におけるゲノム編集効率を指標として、従来型および改良型KK-(EK)4脂質におけるゲノム編集製剤としての有用性を検証する。

次年度使用額が生じた理由

新規KK-(EK)4脂質誘導体の合成に時間を要し、改良型KK-(EK)4脂質修飾mRNA-LNP製剤や、脂質組成の変更による短時間崩壊型mRNA-LNP製剤のin vitroおよびin vivoでの検討が遅れたため。次年度では、in vivoにおける評価に必要な試薬および実験動物の購入を予定している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 新規ペプチド脂質を用いた局所発現型mRNA封入脂質ナノ粒子の開発2023

    • 著者名/発表者名
      神谷 万里子, 実政 澪, Geng Longjian, 島田 春樹, 高山 理紅, 向井 英史, 川上 茂
    • 学会等名
      日本核酸医薬学会 第8回年会
  • [学会発表] In vivoでの投与部位選択的高発現を目指したKK脂質修飾mRNA封入脂質ナノ粒子の開発2023

    • 著者名/発表者名
      神谷万里子, 向井英史, 川上 茂
    • 学会等名
      遺伝子・デリバリー研究会 第22回シンポジウム
  • [学会発表] Development of local expression mRNA-loaded lipid nanoparticles based on a modification of novel peptide lipids.2023

    • 著者名/発表者名
      Mariko Kamiya, Makoto Matsumoto, Mizuki Umino, Hidefumi Mukai, Shigeru Kawakami
    • 学会等名
      日本薬物動態学会第38回年会/第23回シトクロムP450国際会議国際合同大会
    • 国際学会
  • [学会発表] 投与部位選択的発現を目指したKK脂質修飾mRNA封入脂質ナノ粒子の開発2023

    • 著者名/発表者名
      神谷万里子, 向井英史, 田中義正, 川上 茂
    • 学会等名
      第40回日本薬学会九州山口支部大会

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公開日: 2024-12-25  

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