研究課題/領域番号 |
23K19437
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
苫米地 隆人 北里大学, 薬学部, 助教 (70979054)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 配糖体 / トランスポーター / フラボノイド / リソソーム / 生体膜透過 |
研究実績の概要 |
本年度は、フラボノイド配糖体輸送におけるSLC46A3の基質認識性について詳細な検討を行った。リソソーム移行シグナルであるチロシンモチーフを含むC末端領域を欠損させた変異体 (SLC46A3dC) を安定発現させたMDCKII細胞を用いて、SLC46A3介在性5-carboxyfluorescein(5-CF)輸送に対する各種フラボノイドアグリコンの影響を検討した。その結果、5-CF輸送はanthocyanidinやflavanolによりほとんど影響されなかった一方、dihydrochalcone、flavonol、isoflavone、flavanone、flavoneにより顕著に阻害された。各種フラボノイドアグリコンの濃度依存的な阻害試験から、apigenin及びluteolinが最も阻害親和性が高いことが示された。apigenin及びその類似化合物を用いた阻害試験から、apigeninの7位及び4’位のヒドロキシ基が阻害活性に重要であり、さらに各ヒドロキシ基が水素結合供与体として働くことが示された。一方、各種フラボノイド配糖体(hesperidin、ligustroflavone、naringin、phloridzin)の取り込み試験を行ったところ、いずれの配糖体において、mock細胞と比較し、SLC46A3dC発現細胞で有意な取り込みの増加が認められた。各種配糖体のuptakeクリアランス(μL/mg protein)は、フラボノイド骨格の3位に糖を有するrutinで低く、それ以外の配糖体では同等であったことから、糖の修飾部位がその取り込み活性に重要であることが示唆された。また、アグリコンの違いによる取り込み活性の違いが認められなかったことから、アグリコンの構造は阻害剤としての認識性に重要であるものの、基質認識性に対しては影響が小さいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フラボノイド配糖体輸送におけるSLC46A3の基質認識性をアグリコン及び糖修飾の観点からおおよそ明らかにすることができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はフラボノイド配糖体を細胞質へ移行させるための方法論ならびにフラボノイド配糖体が有する細胞内を標的とした生理活性の評価法を確立に向けて、細胞膜局在型SLC46A3およびリソソームにネイティブに発現するSLC46A3を利用した手法の妥当性を検討する。また、本手法を適用した際のフラボノイド配糖体の生理活性を評価する。
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