研究課題/領域番号 |
23K19504
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
並川 実桜 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (30986881)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 胆道癌 / NOTCH / mTOR阻害剤 / オルガノイド |
研究実績の概要 |
申請者らは、最近、肝外胆管癌及び胆嚢癌の発癌と進行にNotchシグナルが重要な働きを していることを世界で初めて報告した(Namikawa et al.The Journal of Pathology 2023)。そこで、当研究では、ヒト肝外胆管癌及び胆嚢癌患者の手術検体や生検検体からオルガノイドを樹立し、その中からNotchシグナルが活性化している症例を抽出し、mTOR阻害剤により増殖抑制効果が得られるかどうかを検証することを目的としている。 これまでに、手術や内視鏡検査(ERCP)で得られた胆管生検検体や胆汁から、胆管癌7例、非腫瘍5例、胆管癌と非腫瘍のセット8例を得て、各々オルガノイドを樹立した。こうして樹立したオルガノイドから、DNAとRNAを抽出し、Whole exome sequenceやRNA sequenceに提出し、遺伝子変異および遺伝子発現の網羅的解析を行い、各胆道癌症例の遺伝子変異、遺伝子発現プロフィルの解析結果を待っている状況である。ただし、胆道癌から生検し樹立したオルガノイドであっても、オルガノイドにして継代することで癌の性質が失われている可能性もあるため、本当に胆道癌オルガノイドを樹立できているかどうかは、上記遺伝子変異や遺伝子発現の解析結果、また、オルガノイドをマウスに移植したPDXモデルを作成した場合に腫瘍が生着するかどうか等の実験により、今後検証する必要がある。 また、上記のように得られた手術検体や生検検体の免疫染色を行い、Notchシグナルが活性化しているかを確認するため、パラフィン包埋して切片を作成しつつある状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト胆道癌患者から胆道癌オルガノイドや非腫瘍オルガノイドを樹立するところまでは概ねできており、遺伝子発現プロファイルの解析に提出するところまで研究を進めることはできた。ただし、Notchシグナルが活性化した症例の抽出までには未だ至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
Notchシグナルの活性化した肝外胆管癌や胆嚢癌オルガノイドを抽出し、そのオルガノイドに直接mTOR阻害剤を投与し、オルガノイドの増殖抑制効果があるか検討する。また、オルガノイドをマウスに移植したPDXモデルを作成し、そのモデルに対してmTOR阻害剤を投与し、腫瘍の増殖抑制効果があるかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNAシーケンスなどの遺伝子発現解析がまだ全て終わっておらず、また、マウスを使用した実験をまだ始められていないため。次年度にこれらの実験を行い、助成金を使用する予定である。
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