研究課題/領域番号 |
23K19548
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
大原 正裕 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (20537906)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | FOXM1 / 乳癌 / 細胞老化 / 治療耐性 / シグナルパスウェイ |
研究実績の概要 |
Forkhead box M1(FOXM1)はクロマチンと結合し様々な機能を制御する転写因子であり、数種類の悪性腫瘍に過剰発現していることが報告されている。FOXM1は癌細胞の分化や増殖と関係することが報告されているが、その詳細は明らかにされていない。一方でCDK4/6阻害剤を含む多くの分子標的治療薬や化学療法は、癌細胞にたいして不可逆的な細胞停止である細胞老化を引き起こすことで増殖を抑制し治療効果を示す。 FOXM1は細胞老化を回避する機構に関わることが報告されており、癌治療に対する耐性の機序に大きく貢献することが推測される。しかし、乳癌における詳細な研究は多く報告されていない。本研究では乳癌におけるFOXM1の発現状態と治療効果との関連性を解析し、細胞老化を回避しうる治療耐性機構を解明し、FOXM1を標的とした新規治療戦略を開発する。 2023年度 FOXM1の乳癌の悪性度への関与を明らかにする。 ①院内倫理審査承認ののち、乳癌臨床サンプルから得られたRNA-Seqより臨床病理学的因子とFOXM1の相関関係を解析中。さらに予後との相関も解析を行っている。 ②FOXM1タンパク発現を免疫染色で確認するため抗体を選定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
症例を選定し、手術検体からRNA抽出し、RNA-seqの解析に時間を要した。おおよそ100症例分の解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
①臨床検体の研究 RNA-seqの解析によりFOXM1の多寡によるシグナルパスウェイの変化を見出したのち、FOXM1に関連し細胞老化に抗う遺伝子群を抽出する。 ②細胞実験・動物実験 FOXM1もしく①で検出された遺伝子を抑制・導入した細胞株を作成し、薬剤耐性(抗細胞老化)を引き起こすことを証明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度おこなったRNAseq解析をふくめた臨床検体を使用した研究は、当科ですでに別の資金でおこなった研究のため今回は計上していない。よって、続いて2024年度に免疫染色をつかった臨床検体の実験・細胞実験・動物実験をおこない予算を使用する。
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