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2023 年度 実施状況報告書

移植ヒトiPS細胞由来心筋組織および奇形腫の非侵襲的イメージング法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K19571
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

相馬 雄輔  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60978691)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワード再生医療 / 多能性幹細胞 / 心筋細胞 / 奇形腫 / 代謝
研究実績の概要

ヒトiPS細胞を用いた心臓再生医療は、重症心不全に対する心臓移植に代わる新たな治療法として期待されているが、今後の普及にあたって残る課題の1つが、移植後のヒトiPS細胞由来心筋組織、および、移植細胞の中に未分化iPS細胞が残存していた場合に形成される可能性がある奇形腫を検出することができる非侵襲的イメージング法の確立である。非侵襲的イメージング法を開発するにあたり、まず、移植後のヒトiPS細胞由来心筋組織、および、未分化iPS細胞由来奇形腫における遺伝子発現を評価することとした。その結果、移植後のヒトiPS細胞由来心筋組織では、成熟に伴って発現が上昇することが知られているサルコメアやイオンチャネルに関わる遺伝子発現が経時的に上昇してくることが分かった。また、一部の解糖系に関わる遺伝子発現が経時的に減少する一方で、脂肪酸代謝に関わる遺伝子発現が上昇してくることが明らかとなった。心筋細胞の代謝は、胎仔期には解糖系が活発であるが、生後、成熟に伴って脂肪酸酸化にスイッチすることが知られており、移植後のヒトiPS細胞由来心筋組織においても、代謝的な成熟が見られることが分かった。また、奇形腫においては、解糖系・TCA回路・電子伝達系・脂肪酸酸化に関わる遺伝子発現が低下しており、エネルギー産生が活発ではないことが示唆された。今後、これらの結果に基づいて、移植後のヒトiPS細胞由来心筋組織および未分化iPS細胞由来奇形腫の非侵襲的イメージング法の開発を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、移植後のヒトiPS細胞由来心筋組織、および、未分化iPS細胞由来の奇形腫のin vivoにおける遺伝子発現の評価を行った。その結果、移植後のヒトiPS細胞由来心筋組織では、一部の解糖系に関わる遺伝子発現が経時的に減少する一方で、脂肪酸代謝に関わる遺伝子発現が上昇してくることが明らかとなった。心筋細胞の代謝は、胎仔期には解糖系が活発であるが、生後、成熟に伴って脂肪酸酸化にスイッチすることが知られており、移植後のヒトiPS細胞由来心筋組織において、代謝的な成熟が見られることが分かった。さらに、奇形腫においては、解糖系・解糖系・TCA回路・電子伝達系・脂肪酸酸化に関わる遺伝子発現が低下しており、エネルギー産生が活発ではないことが明らかとなった。来年度は、これらの結果を踏まえて、移植後ヒトiPS細胞由来心筋組織および奇形腫を検出するためのPETプローブの探索を行う。PETプローブの投与や撮像については、これまでの検討で、技術的には問題なく施行できており、研究の進捗状況としては、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

本年度の結果を踏まえて、移植後のヒトiPS細胞由来心筋組織、および、未分化iPS細胞由来奇形腫を検出することができるPETプローブを用いた非侵襲的なイメージング法の開発を目指す。具体的には、経時的に、免疫不全マウスの尾静脈からPETプローブを投与し、PET撮像およびCT撮像を行う。投与するPETプローブとしては、FDG-PETや複数のアミノ酸のPETプローブを予定している。PET撮像後に、心臓の移植心筋組織または奇形腫を摘出し、切片作成を行い、オートラジオグラフィを行って、組織へのPETプローブの取り込みを確認する。これらの実験により、移植ヒトiPS細胞由来心筋組織および奇形腫を非侵襲的にイメージングすることができるPETプローブを探索する。

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公開日: 2024-12-25  

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