研究課題/領域番号 |
23K19584
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大橋 直樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (00362252)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | ミオシン / WPW症候群 / 肥大型心筋症 |
研究実績の概要 |
家族性WPW症候群(+肥大型心筋症)の家系において確認されたミオシン関連遺伝子の病的バリアントを実験用マウス(C57BL/6)に対して、CRISPR-Cas9のゲノム編集技術を用いてノックインした。得られたF0を、オフターゲットバリアントを確認した後に、野生型と交配することでF1ヘテロマウスを作成し、さらにF1同士の交配でF2ホモマウスを得た。その後はホモマウス同士で交配することで問題なく系統維持ができている。 表現型解析として、ホモマウスにおける心臓超音波検査や心電図検査を行っているが、現時点でヒトに準じた表現型(WPW症候群、肥大型心筋症)が確認されていない。ただしヒトにおいても小児期には異常指摘されず、成人になってから疾患が判明する例が多いため、しばらくは同検査による経過観察を続ける予定であり、病的所見が確認されれば、網羅的発現解析(プロテオーム解析またはRNA-seq)や免疫染色による機能解析を検討する。 一方でノックインマウスを作成した際に偶発的に作成された同遺伝子のnullバリアント(フレームシフトを伴うindel)でも同様の解析を検討している。こちらは現在、ヘテロ同士の交配によりホモマウスの作成を試みているが、現時点でホモマウスが得られていない。バリアントにより表現型が異なる可能性も示唆されるため、こちらのヘテロマウスでも同様に心臓超音波検査や心電図検査による表現型解析や、分子発現解析を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ノックインマウスのモデルマウスの作成には成功し、ホモでの系統維持も問題なく行うことができている。しかし意外にも表現型が現れず、解析方法に苦慮している。 本バリアントはヒトにおいてはACMGガイドラインの"likely pathogenic"に該当し、病的な可能性が考えられるものの、一方でヒトにおいても成人後の発症例が多いのも事実であり、しばらく経過観察を継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
しばらくは心臓超音波および心電図による経過観察を継続する。 心臓組織(時期は要検討)を摘出したのち、総蛋白を抽出してプロテオーム解析を行い、各表現型の発症に関与すると考えられる分子の発現部位を免疫染色で同定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデルマウスの作成および系統維持は問題なく行うことができているが、想定した表現型が現時点では確認できていないため、解析まですすむことが進めずに使用額が予定より少なくなり次年度持ち越しとなった。次年度に合わせて解析を行う予定である。
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