研究課題/領域番号 |
23K19686
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福原 紫津子 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (60625599)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 性差 / 喪失歯数 / 動脈硬化 / 食事 / 栄養 |
研究実績の概要 |
近年、アテローム性動脈硬化に関連した生活習慣病が増加している。頸動脈内膜中膜厚(IMT)はアテローム性動脈硬化の尺度および初期段階のマーカーと考えられており、歯数との関連も示されている。今回、その関連に食事や栄養に関する因子が介在している可能性およびその性差に着目し、解析を行った。【対象および方法】 滋賀県長浜市在住の健康な集団である、ながはま健診参加者9,804名を対象とし、アンケートにて調査した食事関連因子および義歯の有無と、検診により調査した残存歯数、血液検査データ、max-IMTそれぞれの関連を横断的に統計学的に検討した。統計解析は、単変量解析および年齢、義歯の有無で調整した多変量解析を行い、性別と残存歯数との交互作用の検定も行った。【結果】緑黄色野菜およびキノコ類の摂取頻度は残存歯数および義歯の有無と部分的に正の相関を認めた。緑黄色野菜とキノコ類はmax-IMTと負の相関を認め、その関連性は男性よりも女性においてやや強く認めた。血液検査データでは特に中性脂肪値がmax-IMTと正の相関を認めた。多変量解析において、年齢、性別、義歯の有無で調整後にも緑黄色野菜、キノコ類、残存歯数は中性脂肪値とそれぞれ有意な負の関連 (p<0.001) を認めた。性別と残存歯数との交互作用項を同じ解析モデルに加えて解析したところ、coefficient for interaction = 0.010 (女性がreference)、p for interaction<0.001であった。【考察】食物繊維を多く含む食材の摂取が、残存歯数と動脈硬化の関連に部分的に関与しており、その関連性には性差も存在する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々な生活習慣病の基盤となるアテローム性動脈硬化症と口腔関連因子の間に、食事や栄養摂取状況が介している可能性およびその関連における性差につき解析した。 今回の結果は、次年度の研究すなわち心血管疾患や高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、脳血管疾患、認知症などの各種病変をアウトカムとした性差についての詳細な解析に直結すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、様々な生活習慣病の基盤となるアテローム性動脈硬化症と口腔関連因子の間に、食事や栄養摂取状況が介している可能性およびその関連における性差につき解析した。 次年度は、今回の解析結果を基に、心血管疾患や高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、脳血管疾患、認知症などの各種病変をアウトカムとし、同様の解析を行うことで口腔関連因子が全身疾患の性差に寄与するメカニズムについてさらにマクロな視点より解析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、本年度結果を元に学会発表準備中である。学会開催時期の関係で、学会発表に必要な各種費用が、次年度使用額として生じたと考えられる。次年度は、当初予定していた研究に合わせて、論文投稿を行う予定であり、英文校正費等に使用する計画である。
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