研究課題/領域番号 |
23K19770
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 啓央 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60980399)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 小児 / 医療安全 / 小児専門病院 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小児専門病院を対象とした安全管理体制・活動についての指針作成について提言することである。医療的ケア児の増加や、小児集中治療分野の発達・普及などを背景として、小児専門病院で提供される医療はより高度・複雑化しており、安全管理上のリスクとなっている。しかし、小児専門病院の抱えるリスクに対し、どのような安全管理体制・活動が求められるかは分かっておらず、小児専門病院を特別の対象とした安全管理体制・活動についての法令や指針は存在しない。 まず、小児専門病院の安全管理体制・活動の現状、特殊性を明らかにすべく、JACHRI(Japanese Association of Children’s Hospitals and Related Institutions; 一般社団法人日本小児総合医療施設協議会)に加盟する38医療施設の医療安全管理者(医師以外の医療者に限る)に対して、アンケート調査を実施した。アンケートの内容は、主に①施設の医療安全体制、②施設の医療安全活動、③施設の医療安全体制・活動の自己評価、④施設の小児の特性に応じた安全管理体制・活動、の4つのパートから構成される。 アンケート調査から、医療安全体制、特にスタッフの数には大きな施設間較差があることが明らかとなった。また展開されている活動はスタッフの数ではなく、病院上層部を含めた組織としての安全活動への積極性や肯定感が寄与している可能性が示唆された。アンケート調査結果から、特徴的な医療安全体制・活動を展開する医療機関を抽出し、アンケート調査では把握しきれなかった個別具体的な事項について、ヒアリング調査を実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アンケート調査に関する、研究協力機関での研究倫理審査に時間を要してしまい、アンケート調査の開始が遅れてしまった。また調査が年度末に差し掛かったため、十分な回答率が得られず、繰り返しの締め切り延期を行った。そのため、当初の計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査結果から、特徴的な医療安全体制・活動を展開する医療機関を抽出し、アンケート調査では把握しきれなかった個別具体的な事項について、ヒアリング調査を実施する。 またインシデントレポートの提供について許諾を得ることのできた施設を対象として、機械学習の技術を用いて、インシデントレポートに含まれるテキストデータから安全性を定量的に評価する手法を適用し、小児専門病院にどのような医療安全体制・活動が求められているのか検討し、小児専門病院を対象とした安全管理体制・活動の指針作成のための提言を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、2023年度に実施予定であったヒアリング調査の開始が遅れ、2024年度となったため、それに要する費用が次年度使用額に含まれる。 ヒアリング調査に係る謝金・旅費、またアンケート調査・ヒアリング調査の結果解析のための備品購入、小児専門病院に求められる医療安全体制・活動の指針作成のための検討会開催のための諸経費、などに使用する予定である。
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