研究課題/領域番号 |
23K19779
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
相川 玄 茨城キリスト教大学, 看護学部, 助教 (90982570)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 第2の被害者 / 医療過誤 / 有害事象 / 集中治療 / クリティカルケア / 医療従事者 |
研究実績の概要 |
医療過誤や有害事象などの医療安全事象による第1の被害者は患者であるが、医療従事者もまた心に深い傷を受け、不安や抑うつ、心的外傷後ストレス障害などの第2の被害者症候群(Second Victim Syndrome: SVS)を来し、欠勤や離職を考えるようになる。救急・集中治療領域においては医療過誤や有害事象の発生率が高いため、SVSの有病率も高いことが予測されるが、その実態は不明である。 今回、まず先行研究をもとに集中治療室の医療従事者におけるSVSの有病率、種類、危険因子、回復時間に関するシステマティックレビューとメタアナリシスをおこなった。その結果、集中治療室の医療従事者の58%がSVSを経験しており、頻繁な症状として、罪悪感(12-68%)、不安(38-63%)、自己への怒り(25-58%)、自信の低下(7-58%)が見られた。危険因子については先行研究からは明らかにならず、約20%の医療従事者がSVSから回復するまでに1年以上を費やすか、全く回復していない状態であった。 次に、SVSと第2の被害者が望む支援リソースを評価するためのツールとして、「Second Victim Experience and Support Tool-Revised」の日本語版(J-SVESTR)を開発し、本邦の医療従事者を対象にその妥当性と信頼性を検証した。その結果、本邦においてJ-SVESTRは許容可能な妥当性と信頼性を示した。今後、このJ-SVESTRを用いて、本邦の救急・集中治療領域の医療従事者のSVSの実態及び、第2の被害者が望む支援リソースについて明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
全国の救急部門・集中治療室に所属する医療従事者を対象にJ-SVESTRを含めたアンケート調査を送付し、SVSの実態と第2の被害者が望む支援リソースについて調査するとともに、改善し得る危険因子を明らかにする。 その後、患者安全や集中治療の専門家を募り、得られた結果をもとに専門家会議を通して第2の被害者支援プログラムを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で使用するツールの検証研究に時間を要したことと、論文の査読に時間がかかっているため、昨年度中に本研究の主な計画の遂行ができなかった。また、昨年度に論文の公表ができなかったため論文掲載費がかからなかった。そのため、今年度にアンケート実施に係る費用や解析ソフトの購入費用、論文掲載費など研究の遂行にかかる費用を回すこととする。
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