研究課題/領域番号 |
23K19812
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
山田 卓也 帝京大学, 公私立大学の部局等, 助教 (20985361)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 高齢者 / 介護予防 / 健康関心度 / 質問紙調査 / フレイル / 地域 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域在住高齢者における健康無関心層の社会経済的特性や生活行動、健康状態と予後を明らかにし、行動変容を促す介入方策を検討することである。そのため当該年度では、横断的量的データの収集を行うため、地域在住高齢者を対象とした質問紙調査を自治体と計画し、実施した。 本調査の対象者は、山梨県都留市に居住する65歳以上の高齢者のうち、要支援または要介護の認定を受けていない7,203名であった。対象者全員に対して、2024年1月から2月の1カ月間で、郵送法による自記式質問紙調査を行った。なお回収率をあげるため、調査票郵送2週間後に督促状をはがきで送付した。調査項目は、基本属性、健康関心度、身体活動、座位行動、社会経済的地位、生活習慣、生活状況、健康状態、社会的要因、環境要因とした。健康関心度は健康に対する意識、意欲、価値の3サブカテゴリー、12項目からなら健康関心度尺度にて評価した。身体活動や座位行動は、国際標準化身体活動質問票を用いて評価した。社会経済的地位については、世帯年収と教育歴から評価した。健康状態は高齢者のフレイルを評価する基本チェックリストや、老年期のうつスクリーニング検査で用いられるGDS-15を用いて評価した。さらに、社会参加の状況についても評価した。 調査は、4,578名から返答があった。健康関心度尺度の平均点(12点:低い、48点:高い)は、37.9点であった。ここまでの分析で、保健事業や介護予防において言われる通り、関心度が低い者の社会参加が少ない傾向と、健康状態が不良な傾向が観察されている。 生活行動に関しては、3軸加速度計を用いた身体活動・睡眠時間の測定を、質問紙調査回答者かつ加速度計調査の同意者を対象に実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の1年目では健康関心度についてを調査項目に入れた地域在住自立高齢者に対する悉皆調査を実施する計画であった。計画通り、年度内に調査の実施とマスターデータの作成が完了した。しかし、加速度計を用いた生活行動測定データは、当初想定した希望者を大きく上回る2倍以上の方から希望をえたため、次年度以降も継続して評価することとなった。そのため、やや遅れいていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
加速度計を用いた生活行動測定データの収集を継続する。その一方で、質問紙調査で得られたデータをもとに健康関心度と生活習慣や社会参加状況、フレイルとの関連を分析する。また、過去の医療データをもとに健診の状況や医療費の使用状況について分析し健康無関心層の特徴を明らかにする。また、適宜自治体へ分析結果を公表し、健康無関心層に対する介護予防策を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
委託業者からのマスターデータ納品が調査時期や休日の関係もあり、年度終了ぎりぎりとなった。そのため、校正とクリーニングのみ次年度へ繰り越す必要があった。次年度は、データを過去のデータなどと連結し、健康無関心層の特性を検証し、対象地域の住民、自治体へ結果のフィードバックをしつつ、介護予防策を検証していく。そのため、データ管理する設備費や、フィードバックや打ち合わせのための旅費や郵送費を計上している。また検証結果を学術的に広く公表するため、学会参加や論文掲載のための費用を計上している。
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