研究課題
本研究は、先行研究にて開発した「被災地保健師に対する災害時保健活動リフレクション支援プログラム」の改良版を作成し、その妥当性を検証し、より実用性の高いプログラムを作成することを目的としている。プログラムは、基盤となる心的外傷後成長理論に基づき、自然災害を経験した市町村保健師が、自身の災害時保健活動の経験を振り返り、その経験を意味づけることで、「自己肯定」、「他者との関係に対する肯定的認識」、「保健師の職業に対する信念や価値観の向上」の3領域で新たな見方や考え方ができるようになることを支援するものである。パイロット版プログラムの検証より明らかとなった課題の改善を行い、より実用性の高い改良版プログラムを作成することで、災害を経験した市町村保健師のストレス対策のみならず、専門能力の育成、すなわち、人材育成と将来的な災害時保健活動の推進に寄与することを目指す。2023年度は、まずプログラムや研修開発に関する文献を収集し、情報整理と実用性の高いプログラムについて検討を行った。実用性が高く、人材育成の観点からより効果的な研修プログラムを開発するにあたり、インストラクショナルデザインにおける理論モデルであるTOTEモデルおよびカークパトリックの4段階評価を参考に、パイロット版プログラムの点検を行った。その結果、プログラムの改善には、事前課題と対面研修の構成や、プログラムのゴール設定に応じた自己評価指標、フォローアップの設定、教材のスリム化等が必要であることが考えられた。これらの改善点を踏まえ、改良版プログラムの作成を行った。
3: やや遅れている
2023年度は、理論およびプログラム開発に関する文献を収集し、理論とプログラム開発に関する情報整理と改良版プログラムの作成に着手したが、パイロット版プログラムの検証結果のデータの再分析とツール作成に時間を要した。
2024年度前半は、引き続きパイロット版プログラムの検証結果データ分析に基づく改良版プログラムの作成を行う。後半は、災害看護や保健師人材育成に関する専門家および自治体の研修担当者、災害時保健活動経験を有する保健師から意見を聴取し、プログラムの妥当性について評価する。
改良版プログラムの作成に着手しているが、プログラムで使用するツール改良の完成まで至らず未使用額が生じた。2024年度は、当初計画を含め計画を実行予定であり、未使用額を含めて使用を計画している。
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千葉看護学会会誌 = Journal of Chiba Academy of Nursing Science
巻: 29 ページ: 89~99
10.20776/S13448846-29-2-P89