研究課題/領域番号 |
23K19852
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
小野 綾美 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 研究員 (10621287)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 胃がん / コホート研究 / 疫学 / H.pylori / ピロリ菌除菌 / 胃がん予防 |
研究実績の概要 |
自治体や検診医療機関等の現場において近年実施されているペプシノゲンとヘリコバクター・ピロリ抗体の併用法による胃がんリスク層別化は、この方法を従来の対策型胃がん検診に先立って行うことの有効性については明らかにされていない。本研究では、都内の対策型胃がん検診受診者で、従来の対策型胃がん検診に先立って、胃がんリスクの層別化を行った群と、リスク層別化をせず対策型胃がん検診のみを実施した群で追跡を行い、両群の胃がん死亡率及び進行胃がん罹患率減少の度合いを比較することを目的としている。 2023年度は、2016-2020年のリクルート期間に行われたの追跡開始時の問診によるベースラインデータおよび各自治体で収集された参加年の検診結果および精密検査結果データの突合作業を行い、データ解析基盤の構築をすすめた。2016-2020年3月までのリクルート期間に計3209名の参加登録があった。重複や不適格者を除いたベースライン時の解析対象者3168人(男性44% 女性56%)のうち、ペプシノゲンとヘリコバクター・ピロリ抗体の併用法による胃がんリスク層別化検診の参加者は2650名(83.7%)、対策型検診のみの参加者は518名(16.3%)であり、対象者のうちピロリ菌の除菌歴があると回答した人は全体の7.9%であった。 年次の追跡調査としては、2023年度前半に実施した郵送調査の集計作業、異動調査のための住民票照会および次年度の解析および結果公表に向けて2016年度2020年度の全国がん登録データの利用申請を行い応諾された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで収集されたデータの集計作業、ベースラインデータの解析基盤の構築、次年度に行う郵送追跡調査の準備のため集計、アンケート内容の検討等を行い特に大きく滞ることなく進捗できた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度としては、構築されたデータ解析基盤からの縦断的な解析結果を集計し、各年実施の追跡データを含めた横断調査結果のデータ解析基盤の構築と解析方法および全国がん登録の利用申請により入手した情報を含めた公表の方法について検討し実施していく予定である。異動情報およびがん罹患および死亡死因情報の収集については2023年度同様に、住民票照会および人口動態調査目的外利用、がん罹患状況把握のための全国がん登録のリンケージ利用申請を行い、より正確な参加者の罹患や異動の状況把握を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に予定していた物品購入の時期の変更、業務委託を予定していた作業内容や納期が、委託予定先との折り合いがつかず、所属機関内および事務作業補助者の日数増加の対応で実施したことなどが主な要因である。 2024年度は、繰り越し分で前年度に実施できなかった解析に関係する物品購入などを早期に実施し、研究実施環境を整えること、コホート研究に係る膨大な追跡調査のデータ処理に関係する事務作業をより効率的に行うため、外部への業務委託、事務作業補助者への支出、加えて当初からの予定通り、郵送調査および住民異動追跡やがん罹患に関わるデータの取得費用(全国がん登録や人口動態調査、レセプト取得等)や論文投稿および複数の関連学会出席のための費用を予定している。
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