研究課題/領域番号 |
23K19910
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
大藪 康平 福岡大学, 薬学部, 助教 (40881355)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 疼痛 / 前帯状回 / 運動 |
研究実績の概要 |
疼痛には損傷部位が治癒した後でも、痛みが継続する難治性の慢性疼痛が存在する。末梢神経を損傷させた疼痛モデルマウスの前帯状回では、神経の可塑的変化が生じており、これにより疼痛が持続していることが報告されている。慢性疼痛に対する鎮痛薬の使用は疼痛を軽減させるが、疼痛の完全な消失には至っておらず対処療法に留まっており、有力な治療手段の一つとして運動療法がある。しかし、そのメカニズムの詳細については未だ明らかでない点が多い。運動による疼痛緩和には帯状回におけるシナプス可塑的変化が関与している可能性がある。 本研究は、末梢神経を損傷させた疼痛モデルマウスを用いて、疼痛発症後に運動を実施した際の前帯状回におけるシナプス可塑性の変化を評価し、運動による疼痛緩和機構の解明を行うことを目的としている。そこで、電気生理学的手法によるシナプス伝達変化、シナプス神経回路の再構築に関与するArcadlinおよびシナプス伝達関連因子の変化を検討する。 本年度の研究成果として、以下を行った。(1)自発運動による疼痛緩和の評価:坐骨神経部分結紮モデルマウスを作成し、痛覚評価にはvon Frey試験法を用いた。痛覚過敏の発症後に、回転車による自発運動をさせた群と運動をしていない群を用いて、運動による疼痛発症後の疼痛緩和への影響を検討した。自発運動開始後徐々に痛覚過敏の軽減がみられ、14日後には運動をしていない群と比べて、自発運動群では有意に痛覚過敏の軽減がみられた (2)生化学的検討:結紮後14日目の痛覚過敏発症時点、自発運動開始後14日目のマウスの帯状回を摘出し、ウエスタンブロット法によりシナプス関連タンパクの発現評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Arcadlinの発現は確認できなかったが、その他のシナプス関連タンパクについては発現を確認できた。ウエスタンブロット法によるシナプス関連タンパク質評価のための条件設定に時間を要し、電気生理学的な評価には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
シナプス関連タンパク質についてサンプル数を追加し、評価を行う。疼痛時および自発運動による疼痛消失時における前帯状回におけるシナプス伝達能を電気生理学的手法により評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ウエスタンブロット法によるシナプス関連タンパク質評価のための条件設定に時間を要し、電気生理学的実験には至らなかったため、電気生理学的実験分の費用に余りが生じた。次年度より、電気生理学的実験を開始するため、その費用に使用する。
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