研究課題/領域番号 |
23K19958
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
櫻井 幹記 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 助教 (80982545)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 圧縮性乱流 / 一様等方性乱流 / 普遍性 / 大規模直接数値計算 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、圧縮性乱流における世界最大規模の直接数値計算(DNS)を実施可能な3軸並列コードの開発、および、圧縮性乱流の普遍的性質の解明である。本年度は、(1)圧縮性乱流の3軸並列DNSコードの開発と(2)2軸並列コードによる圧縮性乱流の高解像度DNSの実施及び解析を行なった。 (1)では、等温条件下の圧縮性乱流に対して3軸並列化を施したDNSコードを新たに開発し、その実行性能の評価を行なった。その結果、16ノード256プロセス並列における格子点数512^3の3軸並列DNSは2軸並列DNSと比べて1.57倍高速に実行できることがわかった。また、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた数値実験から、格子点数8192^3や16384^3の超大規模な圧縮性乱流DNSが実施可能であることが示唆された。さらに、開発した3軸並列DNSコードで実行可能な3次元高速フーリエ変換ルーチンの実装と性能評価も行なった。 (2)では、2軸並列コードで等温条件下の圧縮性乱流のDNSを実施し、弱圧縮性乱流の統計量の空間解像度依存性を調べた。その結果、乱流中で発生する弱い衝撃波の存在により、速度場の圧縮成分および密度場のエネルギースペクトルがコルモゴロフスケール程度の高波数でベキ則を示すことが明らかになった。また、速度場の圧縮成分のエネルギー散逸領域は速度場のソレノイダル成分のエネルギー散逸領域よりも高い波数領域に存在することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧縮性乱流の3軸並列DNSコードの開発およびチューニングが概ね完了し、当初の計画の通りに、圧縮性乱流における世界最大規模のDNSを実施する準備が整った。また、高解像度DNSの実施によって、圧縮性乱流の微細スケールにおける新たな性質を解明できる可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
開発した3軸並列コードを用いて圧縮性乱流における世界最大規模のDNSをスーパーコンピューター「富岳」によって実施し、高レイノルズ数圧縮性乱流の普遍的性質の解明に向けた研究を推進する。また、等温の仮定が圧縮性乱流の統計量に及ぼす影響や、弱い衝撃波の存在に起因すると考えられるエネルギースペクトルの高波数のベキ則について詳細な解析を実施する。
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