研究課題/領域番号 |
23K19968
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
野口 聖史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター), Young Research Fellow (60980993)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 分子動力学計算 / 数値電磁気学 / 陰溶媒モデル / 生体分子計算 |
研究実績の概要 |
この研究の主な目的は、分子動力学計算の高速化を実現することである。具体的には、水分子の連続体近似と電磁場解析の理論を基盤とし、新たな分子動力学における原子間相互作用の評価手法を開発することを目指す。
この目的を達成するために、研究代表者は令和5年度において独自の電磁場解析手法を土台とし、分子動力学計算の基礎的な枠組みを構築した。具体的には、電磁場と粒子運動の連成解析手法の開発に着手し、原子を電荷を持つ粒子として扱い、それらの運動に伴う周囲の電磁場の伝搬を連成させるシミュレーションコードを実装した。このプロセスにおいて、特に原子の運動に伴う電荷保存則を厳密に満たすことが確認され、原子の運動と電磁場の相互作用を連続体として整合的に記述する手法が確立された。
また、構築した電磁場と粒子の相互作用計算手法は、電磁場の連続体近似に基づく決定論的な陰溶媒モデルを提供する。この手法により、従来の経験的なポテンシャルによる原子間相互作用評価の代替手法として、マクスウェル方程式に基づく計算が可能となる。この新手法は、電磁場の数学的構造に厳密に従った方法論に基づいており、分子動力学計算の高速化に大きく貢献することが期待される。この研究によって得られた結果は、分子動力学シミュレーションを用いた様々な分野における基礎研究や応用研究にも有用であると考えられる。例えば、生体分子の構造や反応機構の解明、材料科学や医薬品設計など幅広い分野での応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時点で構築していた電磁界解析手法を基礎として、分子動力学計算に適用可能な電荷をもった粒子の運動計算とその周囲の電磁界現象の相互作用を計算する基本的な枠組みの構築が完了している。そのため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度には,令和5年度に引き続き手法の検討を進める。また、計算速度の観点で従来の経験的ポテンシャルを用いた場合と比較検討を行う。さらに、構築した手法が電磁界解析手法を基礎とする特徴を活かして、分子間の電磁気的相互作用を可視化・分析し得るかについて検討する。既に、電磁界解析を基礎とする基本的な手法の開発は完了しているため、今後は少数原子数で構成される分子間の相互作用の可視化・分析に着手する。ここまでを本研究課題の必達目標とする。また、発展的な目標として、その分子間の電磁気的相互作用を基礎として分子間の結合強度が議論できるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に計算機の購入を検討しており、次年度使用額として一部を繰り越した。使用計画としては、計算機の購入である。
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