研究課題/領域番号 |
23K20034
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
冨重 圭一 東北大学, 工学研究科, 教授 (50262051)
|
研究分担者 |
内田 さやか 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10361510)
関根 泰 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20302771)
高鍋 和広 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20519730)
清水 研一 北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (60324000)
唯 美津木 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (70396810)
近藤 寛 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (80302800)
寺村 謙太郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (80401131)
|
研究期間 (年度) |
2023-11-17 – 2030-03-31
|
キーワード | カーボンニュートラル / 二酸化炭素 / バイオマス / 触媒 / 作動状態解析 |
研究実績の概要 |
カーボンニュートラル実現に向けて、炭素源の原料転換が求められ、二酸化炭素やバイオマスの還元的・非還元的変換のための熱触媒、電極触媒、光触媒などの固体触媒の開発が必要となっている。本研究では、日本側の研究者がこれまで見出してきたシーズ触媒を端緒に、海外のトップレベル研究者とともに作動状態解析を行い、それらの結果を、さらに高性能な触媒を共同で開発していくことを目的とする。対象とする触媒反応研究は、二酸化炭素の還元的および非還元的変換、バイオマスの還元的および非還元的変換、これらの触媒反応に関連する作動状態解析である。これまで本研究代表者は、バイオマス還元反応に有効なパラジウムナノ粒子修飾酸化セリウム担持酸化レニウム触媒を開発し、この触媒は水素を還元剤として使用できる脱酸素脱水用固体触媒として位置づけられている。本年度の研究実績の一つとして、この開発触媒を対象として、エリスリトールの脱酸素脱水反応における触媒活性劣化挙動について、フィンランドの研究者との共同研究により劣化速度論解析とラマン分光法などを用いた触媒構造解析から、触媒活性点となっている単核状の酸化レニウム種の凝集が活性低下を引き起こしていることを明らかにすると同時に、劣化後の触媒を適切な温度で酸化処理することで、活性種が再分散し、高活性が再生されることを示した。また、研究代表者および研究分担者が海外のトップレベル研究者と議論を行い、大学院生・若手研究者派遣を通した共同研究のための準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、大学院生や若手研究者の派遣を通した、海外のトップレベル研究者との共同研究を実施するものである。共同研究対象は、二酸化炭素の還元的および非還元的変換、バイオマスの還元的および非還元的変換、これらの触媒反応に関連する作動状態解析である。研究代表者及び分担者は、海外のトップレベル研究者と議論を行い、派遣計画を作成している。具体的には、研究代表者東北大冨重研究室の大学院生は、二酸化炭素の非還元的変換研究で国立台湾大の研究室へ、研究分担者北海道大清水研究室の大学院生2名は、二酸化炭素の非還元的変換研究や作動状態解析研究で、それぞれデルフト工科大およびZHAWチューリッヒ応用科学大学へ、東京大高鍋研究室の大学院生は、作動状態解析研究でフリッツ・ハーバー研究所へ、早稲田大学関根研究室の大学院生4名は、二酸化炭素の非還元的変換研究や作動状態解析研究でユトレヒト大(2名)、フリッツ・ハーバー研究所、ETHチューリッヒへ派遣の準備が整った状態である。
|
今後の研究の推進方策 |
二酸化炭素やバイオマスの還元的・非還元的変換のための熱触媒、電極触媒、光触媒などの固体触媒の開発を目的としている。固体触媒の活性構造は、反応物や溶媒が共存し、加熱されたり、電圧がかかったり、電流が流れたり、光が照射され、触媒として働いている状態では、そうでない状態での構造と比較的大きく異なっていることが多い。触媒を開発していくために作動状態での触媒構造を解析したうえで、問題点を解決し、次の触媒開発への活用を試みる。研究代表者および研究分担者が持つシーズとなる触媒や解析アプローチについて、海外のトップレベル研究者と共同研究を進め、次世代の高性能触媒開発に展開する。現時点で、順調に大学院生・若手研究者の派遣の準備も整い、研究成果が見込まれる。今後さらに、様々な研究室の大学院生・若手研究者の派遣が続くものと期待される。
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外派遣する学生・博士研究員のリストアップや受入先研究機関との細かな取り決め等に時間を要していること、急激な円安の煽りを受けていることから、派遣スケジュールの後ろ倒しや見直しが必要である。適宜計画を練り直し、学生・博士研究員を適切に海外派遣できるよう、次年度使用額を運用していく。
|