研究課題
(1) 2024年夏・秋打ち上げ観測ロケットS-520-34号機実験用液体推進剤デトネーションエンジンが完成させた。微粒化・気化過程を含む液体推進剤(エタノール-N2O )に対し,フライト条件でのデトネーション伝播に成功した。最大15秒の試験に成功し,理想的な推力を得た。(2) 液体推進剤デトネーションエンジンのBBM作動特性実験を実施し、フライトとほぼ同じコンポーネントにて、燃焼作動させ、全システムとしての安定作動を確認した。(3) 観測ロケットS-520-34号機用デトネーションエンジンシステム2(DES2)のPFMが完成した。2024年2月に室蘭工業大学白老試験場にてDES2-PFM単体燃焼試験を実施した。(4) H3用リテンションスラスタ軌道上実証に向け水素ー酸素RDEで比推力436秒を達成した。 C*性能、振動計計測に関して詳細解析を実施した。(5) ヘリカル壁の回転デトネーションエンジンにて,デトネーションの回転伝播方向の制御に成功(25回連続再現)した。単一の点火器で2つの回転デトネーションエンジンを5ms以内に同時点火に成功した。2026年度以降に3回目のJAXA宇宙科学研究所の観測ロケット実験の採択が決定し、国際共同研究の枠組みを米国、欧州、アジアで再構築することができた。
1: 当初の計画以上に進展している
世界初のエタノール-N2O液体推進剤デトネーションエンジンシステムのフライトモデル(観測ロケットS-520-34号機用)を完成させた点、水素酸素RDEで高Isp(438秒)を達成しH3リテンションスラスタへの適用検討が具体的に行えている点は、世界的に高い評価を得ており、計画以上である。2026年度以降打ち上げ予定のJAXA宇宙科学研究所の3回目の観測ロケット実験に採択された。これは、当初予定よりも、格段に早いプログラム進捗である。JAXAと通じて、欧州のESA(ヨーロッパ宇宙機関)との協力関係構築にも着手できたので、この点も国際共同研究上、大きな成果であり、計画以上である。
若手研究者の雇用を一層拡大し、また、2024年度から研究設備として、極低温に対応させた、燃焼チャンバーを導入し、拠点として、より一層の充実をはかる。(1) 動的(Dynamic)な回転デトネーションエンジンの物理解明(名大、Purdue大、ベルリン工科大:実験、慶應大:数値解析):今後も引き続き、「内部空力利用型」「浮遊回転型」「自己圧縮型」の動的(Dynamic)な回転デトネーションエンジンに関して、内部可視化、理論解析モデルの構築を行う。(2) 液体推進剤のデトネーションエンジン性能の解明(名大、室蘭工大、ベルリン工科大:実験、慶應大:数値解析):高速度の圧力・温度計測手法、高速度カメラと透過系エンジンを駆使した可視化手法、デトネーションエンジンに特化した数値解析手法を適用し、微粒化実験等を通して、引き続き詳細解明を実施する。(3) 観測ロケットS-520-34号機を用いた宇宙弾道飛行実証(名大、室蘭工大:実験、慶應大:数値解析、JAXA/ISAS:システム検討):2024年度の夏に観測ロケットS-520-34号機を用いた実験によって、デトネーションエンジンをキックモータ、イプシロンの上段Post Boost Stage (PBS)等として、用いることができることを宇宙実証を達成する。(4) 地球周回軌道上でのフライト実証(名大,室蘭工大:実験,慶應大:数値解析,JAXA:システム検討):イプシロンの上段Post Boost Stage (PBS)及びH-3ロケットReaction Control System (RCS)、リテンションスラスタとして、軌道上実証する。さらに、3回目の観測ロケット実験が採択されたので、長秒作動・軽量の回転デトネーションエンジンを研究し、軌道上実証に貢献する。
JAXA宇宙科学研究所の2026年度以降観測ロケット実験に採択されたため、国際的な研究体制を再構築し、実験内容を再検討する必要が生じたため次年度使用額が生じた。また、若手研究者の本格的な雇用を2024年度に開始するため、次年度使用額が生じた。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 9件、 招待講演 3件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (2件)
Combustion and Flame
巻: 264 ページ: 113443~113443
10.1016/j.combustflame.2024.113443
Shock Waves
巻: - ページ: -
10.1007/s00193-024-01160-x
10.1007/s00193-024-01173-6
Proceedings of the Combustion Institute
Journal of Spacecraft and Rocket
Journal of Propulsion and Power
http://www.prop.nuae.nagoya-u.ac.jp/