研究課題/領域番号 |
20H01186
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
大谷 由香 龍谷大学, 文学部, 准教授 (50727881)
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研究分担者 |
吉田 慈順 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00808537)
小野嶋 祥雄 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40868618)
河上 麻由子 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 准教授 (50647873)
榎本 渉 国際日本文化研究センター, 研究部, 准教授 (60361630)
師 茂樹 花園大学, 文学部, 教授 (70351294)
野呂 靖 龍谷大学, 文学部, 准教授 (70619220)
村上 明也 駒澤大学, 仏教学部, 講師 (70868596)
西谷 功 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (80773928)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 唐決 / 未決 / 主恩 / 源信 / 知礼 / 自他宗唐決疑問 / 日宋交流 / 承和遣唐 |
研究実績の概要 |
昨年度から延期になっていた国際仏教学会議IABS(International Association of Buddhist Studies、ソウル開催予定)が、Covid-19の流行が収まらないことを受けて、再延期となった。延期が2年にわたるため、アクセプトされていたパネル報告を取り下げ、情報の鮮度が落ちないうちに各自に国内・国外問わず報告機会を得た時点で成果を報告する方向に切り替えた。このため昨年度に繰り越した海外出張のための予算を再度繰り越した。 また今年度予定していた国内寺院調査についても、上半期の出張そのものが難しく、予算の一部を繰り越した。 ただし月1回程度、オンラインでの研究会は継続しており、今年度は東大寺所蔵『自他宗唐決疑問』の写本研究を行った。本史料は源信(942~1017)が宋国に送るために執筆した仏教教義に関する疑問(未決)を中心としたものである。源信が宋国に送った未決は、中国天台宗の泰斗である知礼から返答を得た、天台宗に関する27問が有名であるが、実際には源信は倶舎・法相などに関する問いも中国に送っていたことがわかる史料であり、また法相宗僧・主恩がこの未決状を九州で得て、自ら源信を批判する意図をもって自ら解答を作成したことがわかる内容となっている。 ただし上記27問については知礼から得た返答を添付したものであり、さらに承和遣唐に向けて作成されたと考えられる未決群の混入もみられて、史料成立の背景は複雑そうである。歴史学者と仏教学者がそれぞれの得意を生かして研究を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際学会への参加を断念することになり、今年度も国外への研究成果の紹介はできなかった。また国内寺院調査の実施も難しく、新しく日中交流に関する史料を検出するための作業を実行することもできなかった。 ただし月1回程度のオンライン研究会は継続して実行できており、研究実施以前に検出されていた史料の読解研究は進んでいる。 研究会の直接的成果として、河上麻由子「宝亀遣唐使と「東大寺六宗未決義」」、村上明也「源信問・知礼答『答日本国師二十七問』の二系統の本文」がそれぞれ刊行された。
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今後の研究の推進方策 |
Covid-19の流行の推移を見ながら、国際学会での報告、国内寺院調査の実施を行いたい。 なおそうした成果報告・調査とは別途に、月1回程度の研究会を遂行して成果を積み上げたい。
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