研究課題/領域番号 |
20H01224
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 帝塚山学院大学 |
研究代表者 |
猪股 剛 帝塚山学院大学, 人間科学部, 准教授 (90361386)
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研究分担者 |
宮坂 敬造 東京通信大学, 情報マネジメント学部, 名誉教授 (40135645)
川嵜 克哲 学習院大学, 文学部, 教授 (40243000)
田中 康裕 京都大学, 教育学研究科, 教授 (40338596)
唐澤 太輔 秋田公立美術大学, 大学院, 准教授 (90609017)
石倉 敏明 秋田公立美術大学, 大学院, 准教授 (90649310)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ダイバーシティ / 意識変容 / 自然の多様性受容 / 現実性 / マイノリティ / 言語継承活動 |
研究実績の概要 |
本年はコロナ下により、国内調査・国際調査ともに制限された中で実施した。特に、国際調査に関しては、パフォーミングアーツの開催が制限されていただけでなく、渡航に際しての困難も多く予定していた調査を行うことができないこともあった。そのため、国内調査を主軸に据え、特に大型のパフォーマンスや表現活動ではなく、小規模の活動に焦点をあて、質的な研究の土台となる個人のインタヴューに多くの調査時間を割くことになった。 2021年6月には出羽三山の儀礼と狩猟採集文化の調査を行い、8月には奥能登の芸術祭の調査を行うとともに、地域の表現活動や寺社の表現にまつわる役割を調査した。この成果は、後に書籍『私たちのなかの自然』にまとめることができている。 また9月には沖縄において、精神病院の調査を行い、特にうるま市と那覇市の病院ではコロナ下にもかかわらず見学を認められ、医療関係者のインタヴューを行うことができた。また地域の公民館におけるシマクトゥバの継承活動とダイバーシティ活性化に関する調査を行うこともできた。 12月には日本病跡学会の招待講演において、夢という活動における現実の多様性について発表し、研究の途中成果を提示することができた。 さらに2022年1月には沖縄においてハーフやミックスと呼ばれる多様なルーツを抱える人々のインタヴューを行い、多様性受容に際した人種や地域差別といった国際的な課題を調査した。3月には国際調査のため短期間だがドイツを訪れることができ、国際研究集会を開催し、夢の現実性についての検討を行った。 また、群馬における調査は、2022年8月IAAP国際学会にて、"Sustainable psychological engagement with a changing world(変化する世界に対する持続的な心理学的関わり)"として発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、予想外に長引くコロナ下において国際研究活動が制限され続けた。そのため、当初の研究計画よりも国際的な調査が遅れたことは否めない。 しかし、その一方で、国内調査活動には予定よりも多くの時間を割くことができた。そのため、全体の研究としては概ね順調に推移していると考えられる。 内容的に見ても、大きなイベントやパフォーマンス活動は自粛されていたため、その調査活動は予定よりも遅れたことが否めないが、その分、小さな規模の表現活動に対する調査が進み、インタヴューなどをていねいに時間をかけて行うことができたため、やはり、全体としてみると概ね順調に進展したと言えるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、コロナ下の制限が大幅に緩和されることが予想されている。また、すでに国際学会に二つエントリーを終えており、ブエノスアイレスおよびイェルサレムにおいて研究成果を発表する予定である。同時に、南アメリカおよびアメリカ合衆国におけるダイバーシティ活性化に関する調査を行うことも予定している。 国内では、沖縄を世界のウチナンチュ大会や戦後50年の慰霊の日に際して訪れ、多様性を受容していく際の破壊や傷の体験がどのように作用しているのかを調査する予定である。その他にも、山形や秋田などの芸術祭において、地域文化が多様性を受容していくためにパフォーミング・アーツ活動がどのような影響を及ぼしているかを調査する予定である。 さらには、昨年度に続いてドイツにおける国際研究集会を開催し、夢の現実性についての調査研究を行う予定である。
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