研究課題/領域番号 |
20H01231
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
亀井 森 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40509816)
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研究分担者 |
下原 美保 関西学院大学, 文学部, 教授 (20284862)
菊池 庸介 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30515838)
天野 聡一 九州産業大学, 国際文化学部, 准教授 (50596418)
川平 敏文 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60336972)
長福 香菜 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 准教授 (90634949)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 近世文学 / 写本 / 絵巻 / 長沢伴雄 / 台湾大学 / 阿蘇神社 |
研究実績の概要 |
本研究の3つの柱は1.九州地域における写本の学術的調査、2.国立台湾大学長沢文庫所蔵写本群の調査、3.近世後期絵巻模写における国学視座からの再検討であるが、1~3はすべて現地調査を基本としており、一昨年度より続く新型コロナウイルスの影響で研究計画を変更せざるを得なかった。大学の方針としてまん延防止等重点措置の地域への出張は原則として禁止しており、今年度も大規模な現地調査を行うことができなかった。 各テーマについて具体的に述べていきたい。まず1は一昨年度より阿蘇神社(熊本県阿蘇市)所蔵未整理古典籍類の学術調査および目録化を行っているが、年間2回予定しているグループ調査は1回も行うことができなかった。 2の台湾大学調査については現地調査は行うことはできなかった。しかし、同大学より複写を取り寄せ、研究代表者が口頭発表を行い、今年度に論文として公刊した(亀井森「国学者の絵巻模写-長沢伴雄稿『年中行事画巻略』を中心に-」、語文研究、130・131号、pp.280-293、九州大学国語国文学会編、2021年6月)。かろうじて研究が進まないという状況は避けているが、来年度も同大学への調査は難しいのではないかと考えている。 3の絵巻模写についてはわずかながら進展している。前掲研究代表者の論文、また後掲下原美保氏による論考によって絵巻模写については着実に業績を挙げていると考えてよい。 また長沢伴雄が絵巻模写の活動を行っていた時期に記された業務日誌を今年度の予算で購入した。これによってこれまで推測の部分が多かった空白時期について大きな進展を見込むことが可能となり、来年度以降、口頭発表および論文化を計画している。本研究テーマは他の柱に比して進展しているといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はすでに述べてきたように現地調査を主体としており、それが行われない状況である現状では研究が遅れていると言わざるを得ない。まん延防止等重点措置対象地域への調査は原則として禁止となっており、今後の感染状況によっては今年度と同様の事態になることも予想される。 しかしながら以下に示すように各研究分担者の業績は非常に活発に発表されており、研究全体としては十分にその成果をあげているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の手法は研究分担者が現地集合しての調査を基本として資料収集を計画している。現在の研究環境としては各研究分担者に分配した研究費をそれぞれが使用して、「写本」に関するテーマに取り組む形である。現地調査が行えない状況においてもできるだけ研究を遅らせないように努めている。 しかしながら2022年度は現地調査での感染を最小限に抑えるため、現地調査を減らし、研究代表者が写真撮影を複数回行って研究分担者と画像を共有する方向で準備を進めている。研究計画で示した3つのテーマの同時進行的な進行は難しく、進められるテーマを模索していきたい。 研究分担者とは頻繁にメール等で連絡をとっており、コミュニケーションには問題はないと考えている。また昨年度の業績も各分担者ともに業績をあげており、研究グループとしても機能していると考えている。
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