研究課題/領域番号 |
20H01233
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 二松學舍大學 |
研究代表者 |
山口 直孝 二松學舍大學, 文学部, 教授 (30297741)
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研究分担者 |
竹内 栄美子 明治大学, 文学部, 専任教授 (00236415)
福田 桃子 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (10793234)
竹峰 義和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20551609)
坂 堅太 就実大学, 人文科学部, 講師 (30755757)
石橋 正孝 立教大学, 観光学部, 准教授 (70725811)
木村 政樹 東海大学, 文学部, 講師 (90869679)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大西巨人 / 新日本文学会 / 記録芸術の会 / 文学芸術運動 / 知識人 / 神聖喜劇 / 中野重治 / 『近代文学』 |
研究実績の概要 |
二松学舎大学所蔵の大西巨人旧蔵資料の調査を本格的に開始した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で年度前半は、施設利用の制限を受けたが、参加人数を絞るなどして対応した。資料のうち、『神聖喜劇』を始めとする原稿・草稿類の整理調査を行い、リストを作成した。また、映画関連資料や手帳、ノートなどから大西巨人の映画受容についても調査を行った。 神奈川近代文学館所蔵の中野重治、野間宏宛大西巨人書簡を調査し、翻刻作業を進めた。 成果発信の場として「芸術運動と知識人」研究会を発足させ、第1回「特集大西巨人――知識人における見ることと書くこと」を2022年3月13日に開催し、山口、福田、竹峰が報告した。山口は『神聖喜劇』の原稿調査を踏まえて、後半部の執筆において、手書きとコピーの二系統の原稿が作られ、創作が進められていることを明らかにした。福田は、『神聖喜劇』における映画の言及を、大西巨人旧蔵資料から裏づけた。竹峰は、大西巨人とベンヤミンとの著述における引用の方法の類似性を指摘した。 大西巨人旧蔵資料調査の成果については、山口が批評「コンプレックス脱却の当為」についての考察をまとめた。木村は、『革命的知識人の群像』を刊行し、埴谷雄高、野間宏など戦後文学者について考察した。坂は、「記録芸術の会」の中心メンバーである佐々木基一の戦後文学批判に関する言説を、60年安保運動と関連させて検討した。竹内は、中野重治の敗戦直後の思想について、全集未収録資料を踏まえて考察し、また、ハンセン病問題をめぐる大西巨人と中野重治との関係等を考察した。石橋、竹峰は、比較対照するフランスおよびドイツの知識人、ビュトールやベンヤミンについての検証を進め、石橋はビュトールの批評集成の第2巻の翻訳を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は新型コロナウイルスの感染流行があり、大西巨人旧蔵資料ほか、公共機関を利用した資料調査ができなかったため、共同研究における遅滞をよぎなくされるところがあったが、本年度後半から実施することができ、前年度の空白も埋めることができたと思われる。「芸術運動と知識人」研究会を創設し、研究成果を定期的に発信する場を確保したことも大きな前進と言える。
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今後の研究の推進方策 |
大西巨人旧蔵資料については、原稿・草稿類のデジタルデータ化を進めたい。大西巨人宛書簡、写真資料の整理に着手し、リスト化を行う。大西巨人と中野重治との間で交わされた書簡の翻刻、注釈作業を進める。アジア・アフリカ作家会議の雑誌『LOTUS』の細目作成、調査を進める。「芸術運動と知識人」研究会を引き続き定期的に開催する。大西赤人氏を始めとする関係者への聞き取り調査を行う。
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