研究課題/領域番号 |
20H01251
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
立石 謙次 東海大学, 文化社会学部, 准教授 (50553426)
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研究分担者 |
吉田 章人 新潟大学, 教育基盤機構, 准教授 (80794495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 白族 / 白文 / 中国雲南省 / 大本曲 / 漢字系文字 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は大理盆地北部と南部における白文テキストを分析して、収集した語彙の表記の違いを比較する。そしてこの作業を通して、白文テキスト読解の基礎を確立する。具体的には以下の作業を行なった。 「白文(ペー文)資料集(翻訳・分析と語彙集)」:白族(ぺー族)の民間芸能「大本曲」の曲本(台本)を対象に、白文資料を翻訳・分析し「資料集と語彙集」を出版する。2022年4月より、複数回研究分担者とともに白文資料の分析・翻訳作業を実施した。この研究会においては、研究代表者立石・分担者吉田は南腔の大本曲曲本である『〓(金+則)美案』の分析・翻訳を用いて、語彙集の作成を行ない、2023年3月に出版した。さらに昨年度から継続して大本曲『斬龍頭』(または『唐王遊陰』)を分析対象とした。まず分担者吉田が下訳を行ない、研究会において研究代表者とともに検討を加えた。同翻訳・分析は2023年度3月に「大理白族の大本曲『斬龍頭』研究序説 (2)」として『環日本海研究年報』No. 27誌上において発表している。 なお2023年2‐3月にかけて実施を予定していた中国雲南省での現地調査は調査対象国の法令を順守するために断念し、予算の一部を翌年度に繰り越した。なお繰り越した予算より、2023年度に台湾中央研究院での資料調査を行った。同研究院付属の傅斯年図書館、郭廷以図書館において本研究課題の研究対象である説唱文学曲本を調査した。19世紀雲南で発行された曲本、及び大本曲の演目と共通する他地域説唱文学の演目などを中心に調査を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度末までに目標の一つであった大本曲の南部流派「南腔」テキストの翻訳・分析を行い出版することができた。また当初予定していなかった別の曲本『斬竜頭』テキストの翻訳・分析も研究代表者を中心に進めている。予定していた調査対象国での調査は断念することとなったが、電子メールやSNSなどを通して、現地の研究協力者との連携は維持できている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の目的通り、方言語彙表作成・出版に向けて会議をおこない、編集方針を決定する。決定後、研究分担者吉田を中心に語彙表の草案を作成し、掲載すべき語について検討を行う。調査対象国の法令を遵守する立場から、課題申請時に予定していた現地調査についてはおこなわないこととした。白語に関して解決できない問題が生じた場合には、電子メールなどを通して、雲南大学の楊文輝副教授(白族出身)に問い合わせ、アドバイスを受ける。また語彙表の分析精度を高めるため、今後も研究代表者立石が台湾を訪問し、中央研究院所蔵の大本曲曲本の関連資料(主に他地域の説唱文芸曲本)を閲覧・収集する。その際、漢語由来の語については、現役の台湾の説唱文芸の芸人にもアドバイスを受け、本研究課題の目標としている方言表の出版を目指す。
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