研究課題/領域番号 |
20H01252
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
渡辺 直紀 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80409367)
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研究分担者 |
波田野 節子 新潟県立大学, その他, 名誉教授 (50259214)
熊木 勉 天理大学, 国際学部, 教授 (70330892)
柳 忠熙 福岡大学, 人文学部, 准教授 (90758202)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 韓国 / 文学 / 冷戦文化 / 帝国大学 / アメリカ / シベリア抑留 |
研究実績の概要 |
令和4(2022)年度繰越金および令和5(2023)年度分で、両年度の研究課題「帝国大学の人文学研究と韓国・台湾」「解放後韓国文学における批評理論と内なる〈アメリカ〉:日本との比較」の資料収集・会議を行った。23年6月には韓国系アメリカ人作家スーザン・チェ氏を東京に招聘し、祖父である英文学者の崔載瑞やチェ氏の父の解放後の経歴、また自身の創作動機についてインタビューを行った。また同月には韓国の大邱・慶北大で開催されたAASinAsia学会に参加して関連の発表を行うことができた。帝国日本の日本語文学と戦後/解放後の日本・韓国文学の連続と不連続について、それぞれの発表を通して理解を深めることができた。7月には韓国・李泳禧財団理事長の金孝淳氏を日本に招聘し、その著書『朝鮮人シベリア抑留』(渡辺直紀・訳)について東京外大および立命館大で書評シンポジウムを行った。日帝時代に徴兵され満洲に送られた朝鮮人青年たちは、解放と同時にソ連軍の捕虜となり、シベリアに抑留され、その間に故国は分断された。命からがら38度線を越えて南の故郷に帰った者たちに待ち受けていたのは、生涯に及ぶ過酷で非道な日々だった。そのライフヒストリーを記録した本書の著者と今後のこの問題/テーマの掘り下げ方について議論を深めることができた。また24年2月には日本・韓国・香港の研究者を招聘し、新潟県立大で国際シンポジウム「朝鮮近代文学研究の新たな地平:言語・移動・メディア」を開催し、植民地朝鮮の文芸誌『文章』や延辺出身の詩人・尹東柱、解放後の韓国女流作家の世界紀行文、1930 年代大阪で刊行された朝鮮語新聞『民衆時報』、在日朝鮮人詩人・金時鐘、植民地朝鮮の文芸評論家・李源朝、植民地朝鮮の作家・崔明翊、北朝鮮の『世界文学選集』出版、解放後韓国の作家・孫昌渉などについてより深く議論・検討を重ねることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナもほぼ沈静化し国内外の旅行・出張が可能になることで、国内外で予定していた研究うちあわせやインタビュー、シンポジウムの開催などを、予定・予想以上に大規模に開催することができたため。韓国系アメリカ人作家スーザン・チェ氏とのインタビューを通して、植民地期から解放後にかけての韓国とアメリカの文学者の移動についてとても深い見識を深めることができた。また、韓国・リ・ヨンヒ財団理事長の金孝淳氏を日本に招聘し、その著書『朝鮮人シベリア抑留』と関連する主題について深い検討ができたと同時に、氏が刊行でジャーナリストとして活動した足跡についてもより深い見識を得ることができた。さらに24年2月に開催したシンポジウムでも今年度のテーマから派生して考えられる問題系について、さらに詳細な展望を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6(2024)年度「1960年代の韓国における民族本質論と「韓国学」の形成――鏡としてのアメリカ・日本」をテーマに資料を収集し、以下のように研究を行なう。(5月)東京で研究打合せ(武蔵大)、(7月)国際シンポジウム開催(武蔵大)、(8月)韓国で資料調査および研究協力者と研究打合せ。(10月)関西か九州で研究打合せ(天理大か福岡大)。なおそれぞれの研究会や研究打合せ、シンポジウムの開催の日時や場所については多少変動がありうる。
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備考 |
(その他の業績/翻訳)李奉範(渡辺直紀・訳)「『北の詩人』と冷戦政治:1960年代初頭の韓国での受容と玄海灘論争を中心に」『松本清張研究』第25号、北九州市立松本清張記念館、2024.3、96-137;廉想渉(波田野節子・訳)「その初期:在「満」朝鮮人作家の創作(16)」『植民地文化研究:資料と分析 (22)』植民地文化学会、2024、82-94。
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