研究課題/領域番号 |
20H01258
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
風間 伸次郎 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50243374)
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研究分担者 |
江畑 冬生 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (80709874)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アルタイ諸言語 / 比較言語学 / 対照研究 / コーパス / 辞書 / ツングース諸語 / チュルク諸語 / モンゴル諸語 |
研究実績の概要 |
論文「モンゴル語の再帰接辞の機能について」ではモンゴル語でもっとも重要な文法要素の出現環境や機能について、徹底的な調査・研究を行った。報告書『チュヴァシュの言語と文化 1』ではチュルク諸語の中でももっとも早くに分岐したと考えられ、もっとも重要な言語の一つであるチュヴァシュ語について、4年間の現地調査の成果をまとめた。文法の諸要素のテキスト中の全出現箇所を示した文法を付けてある。報告書『ダグールの言語と文化 1』ではモンゴル諸語の中でより古い特徴を残し、やはりもっとも重要な言語の一つであるダグール語について、2014-2016年に行った現地調査の成果をまとめた。他にもここ数年恒常的に取り組んできたソロン語とエウェン語カムチャツカ方言について、テキスト集である『ソロンの文化と生活 2』と『エウェン語ブィストラヤ方言テキスト3』を報告書として刊行した。 コロナ禍で今年度は現地調査にでかけることも話者を招聘することもできなかったため、たまっていたこれまでの調査資料に多大な時間と労力をつぎ込むことができた。論文「アルタイ型言語における「補助動詞」の分布について」ではアルタイ諸言語、朝鮮語、日本語における補助動詞を、近隣諸言語のそれとの対照をも通じて、分布や機能を総覧した。研究発表「モンゴル諸語とツングース諸語に共通する語形成接辞について」では、モンゴル語族とツングース諸語の系統関係を科学的に立証する重要な類似点である接辞を扱った。他には論文として「アルタイ諸言語における複数形式の定性について ―日本語および朝鮮語との対照をつうじて―」と「アルタイ諸言語における形容詞の名詞的用法について ―コーパスによる予備的研究―」を発表した。さらに研究ノートとして、「モンゴル語文法研究ノート 1」を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍により、現地調査やコンサルタントの招聘はできなくなったが、その時間を生かしてこれまで現地調査で録音・記録してきたが、その分析・整理が間に合っていなかった大量の資料の整理をかなり行うことができた。 国内にもコンサルタントとなってくれる母語話者は一定以上存在し、文法調査票が確立しているため、これを用いて言って以上の重要なデータを集めることができた。これを整理するための時間もあった。むしろマンパワーは不足するぐらいであったが、科研費からの謝金によって大学院生の助けを受け、分析・整理を進めていくことができた。
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今後の研究の推進方策 |
『語学研究所論集』の10年間の特集で、文法体系全体の調査のための調査票が完成した。これは約300の文例からなる体系的なものである。すでにいくつかのアルタイ諸言語(ハルハ・モンゴル語、トルコ語、ナーナイ語、ソロン語、エウェン語など)についてそのデータは公開されているが、現在いくつかの言語(トルクメン語、タタール語、チュヴァシュ語、キルギス語、ウズベク語、ウイグル語、トゥバ語、サハ語、ハカス語、ダグール語など)のデータを収集しグロス付けなどの整理を行っているところである。 この成果の次年度中の刊行を目指している。 他にいくつかの言語の現地調査で得た資料に基づくテキスト、比較語彙、辞書等の刊行を目指している。文法のトピックについての論文もいくつか執筆予定である。
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