研究課題/領域番号 |
20H01258
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
風間 伸次郎 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50243374)
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研究分担者 |
江畑 冬生 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80709874)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アルタイ諸言語 / 言語類型論 / 言語接触 / 文法カテゴリー / 言語間の対照 |
研究実績の概要 |
論文「アルタイ型言語の再帰表現について」ではアルタイ諸言語/アルタイ型言語においてもっとも重要な再帰の諸表現について、徹底的な調査・研究を行った。「言語類型論から見た日本語の格」では世界の諸言語における格の数や機能と対照することによって、日本語の格の持つ特徴を明らかにした。テキスト集である『ソロンの文化と生活 4』は研究協力者であるバイカル氏が現地調査で録音してきた大量の音声資料を氏と協力して書き起こし、分析して日本語訳をつけて刊行したものである。『しゃべるヒト』には本研究の成果を踏まえ、啓蒙的な一節である「色々に数えることば」を発表した。新田志穂氏との共著で「ウイグル語:特集補遺データ「受動表現」「ヴォイスとその周辺」「アスペクト」「モダリティ」「他動性」「連用修飾複文」「情報構造と名詞述語文」「情報構造の諸要素」「否定、形容詞と連体修飾複文」「所有・存在表現」」を発表した。さらにコロナ禍で今年度は現地調査にでかけることも話者を招聘することもできなかったため、これまでの10年以上の研究成果を集積し推敲して、風間伸次郎論文集として、『日本語の類型』を三省堂より刊行した。さらに研究ノートとして、「モンゴル語文法研究ノート 3」を発表した。研究会での発表では、上記の再帰表現に関して北方言語学会で発表したほか、CSELではトルコ語とハルハ・モンゴル語の二重使役について、九州言語学研究会では日本語諸方言を含む諸言語における係り結び的な表現とそのメカニズムについての発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により、現地調査やコンサルタントの招聘はできなくなったが、その時間を生かしてこれまで現地調査で録音・記録したが、その分析・整理が間に合っていなかった大量の資料の整理をかなり行うことができた。 国内にもコンサルタントとなってくれる母語話者は一定以上存在し、文法調査票が確立しているため、これを用いて一定以上の重要なデータを集めることができた。これを整理するための時間もあった。むしろマンパワーは不足するぐらいであったが、科研費からの謝金によって大学院生の助けを受け、分析・整理を進めていくことができた。
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今後の研究の推進方策 |
『語学研究所論集』の10年間の特集で、文法体系全体の調査のための調査票が完成した。これは約300の文例からなる体系的なものである。すでにいくつかのアルタイ諸言語(ハルハ・モンゴル語、トルコ語、ナーナイ語、ソロン語、エウェン語、トルクメン語、タタール語、チュヴァシュ語、キルギス語、ウズベク語、ウイグル語、トゥバ語、サハ語、ハカス語、ダグール語など)についてそのデータを公開した。現在いくつかの言語(アゼルバイジャン語、カラカルパク語、カザフ語など)のデータを収集しグロス付けなどの整理を行っているところである。この成果の次年度中の刊行を目指している。 他にいくつかの言語の現地調査で得た資料に基づくテキスト、比較語彙、辞書等の刊行を目指している。文法のトピックについての論文もいくつか執筆予定である。
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