研究課題/領域番号 |
20H01305
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
井黒 忍 大谷大学, 文学部, 准教授 (20387971)
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研究分担者 |
和崎 聖日 中部大学, 人文学部, 准教授 (10648794)
小沼 孝博 東北学院大学, 文学部, 教授 (30509378)
塩谷 哲史 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30570197)
小川 道大 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (30712567)
熊倉 和歌子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (80613570)
西川 優花 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 日本学術振興会特別研究員 (70898197)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 水利権 / 比較 / アフロ・ユーラシア / 灌漑 / 水文化 |
研究実績の概要 |
2022年度には、3回の研究会および1回の現地調査を実施することができた。研究会では今後の研究推進のための核となる比較軸の確定を目的とするとともに、あわせてゲストスピーカーからの報告を聞き、専門的な知見を得ることができた。 研究会の1回目は、井黒忍の報告とディスカッションを通して、生態環境的要素・社会経済的要素・技術インフラ的要素・政治宗教的要素の4つのカテゴリーを比較の軸として設定した。2回目は、ウズベキスタン科学アカデミー歴史研究所のアドハム・アシロフ教授を講師に迎え、フェルガナ盆地における水にまつわる文化と伝統に関する報告を聞いた。ウズベキスタン東部のフェルガナ盆地において、いかなる伝統的な水利用と管理がなされてきたのかを水神に対する信仰やその祭りなどの文化的側面とミーラーブなど管理役の職掌や権限から理解を深めることができた。3回目は一橋大学名誉教授の加藤博氏を講師に迎え、エジプトの村と灌漑農耕システムに関する報告を聞いた。これにより、エジプトにおける社会を構成する重要な単位としての村と家族の位置づけや多様な水利社会のあり方に対する理解を深めることができた。 現地調査は、エジプトナイル川流域のファイユーム盆地においてナイル川の定期的な増水を利用した伝統的灌漑技術であるベイスン灌漑のための水利施設を見学するとともに、中・下流域では水管理のために建設された歴史的水利施設および現在の水利インフラを実見することができた。極乾燥地における水の重要性とその有効利用の技術を理解し、その情報をメンバーと共有することができたことは極めて大きな成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症の流行のため延期せざるを得なかったエジプトナイル川流域での現地調査を多くのメンバーと共同で実施することができ、各地域の事例との比較を行う上で重要な情報を共有することができた。また、過去の状況のみならず、現在のナイル川の治水に関する情報を得ることができた点にも大きな意義が認められる。加えて、3回におよぶ研究会を開催し、比較の視座を確定することで今後の研究の進め方を明確化することができただけでなく、ウズベキスタンとエジプトの水利を専門とする研究者から極めて貴重な研究成果と経験を聞くことができたことは、比較研究を推進する上でも大きな成果となった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の流行状況に注意しつつ、当初の計画通り海外現地調査の実施を予定する。くわえて、オンラインでの開催も含め、研究会を継続的に実施し、国内外の専門家から関連する地域や隣接する分野の報告を聞き討論を行う。さらに、今年度に確定した比較の視座に基づき、地域間の比較を行うとともに、モデルの構築を行い、その成果の一端を国際学会にて発信することとする。
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