研究課題/領域番号 |
20H01311
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
伊香 俊哉 都留文科大学, 文学部, 教授 (80347369)
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研究分担者 |
齋藤 一晴 日本福祉大学, 教育・心理学部, 准教授 (00624777)
安達 宏昭 東北大学, 文学研究科, 教授 (40361050)
小林 元裕 東海大学, 文化社会学部, 教授 (80339936)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 日中戦争 / アジア太平洋戦争 / 華北 / 興亜院・大東亜省 / 動員・対日協力 |
研究実績の概要 |
メンバー各自の研究状況は以下の通り。 伊香:入手した史料の整理を進めつつ、2023年8月27日から9月7日に北京市档案館での史料調査を行い、治安強化作戦、治安軍、新民会、新国民運動についての史料収集を行った。とりわけ治安強化運動と新国民運動については華北政務委員会が総掛かりで実施し、市民の生活態度の統制まで及んで展開されていたことが新たに収集した史料から明らかとなった。また北京滞在中に研究協力者である首都師範大学の研究者(史桂芳先生、崔金柱先生、殷志強先生、王超先生)と研究交流を行った。 小林:近年は兵士遺族が自分の父などの中国戦線での従軍記録を出版するケースが多くなってきており、それらの史料を購入し、下級兵士による中国占領の行動実態についての分析を進めた。 安達:アジア歴史資料センターの治安強化運動関係の史料をつかって、アジア太平洋戦争下の鑿井事業の事例を多数抽出した。鑿井事業は食糧増産政策を左右する事業であり、その実施状況を把握することは食糧増産政策の評価に関わる。さらに北京市档案館で史料調査を行い、1943年以後の華北地域の食糧生産、とりわけ蝗害問題に関する対日協力政権の対応に関する史料を入手できた。 齋藤:日中戦争期の華北における日本語教育に関する復刻資料集(日本語)や、オーラルヒストリーに関する資料集(中国語)を購入して、日本語の普及、中国人側の受容のあり方を分析した。その結果、日本側が見込んだ日本語の普及はできなかったことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度~2022年度においてコロナの影響で現地調査には困難があったが、その間研究代表者の伊香は2022年10月から12月に北京で史料調査を実施した。さらに今年度(2023年8月)にも北京市档案館に赴き、史料調査を実施した。軍事支配担当の伊香はその調査成果をベースとして治安強化運動、治安軍、新民会、新国民運動等についての分析を進めた。それ以外のメンバーは日本でアジア歴史資料センターや史料集に依拠して史料収集を進め、政治支配担当の小林は対日協力政権の指導者についての分析、経済支配担当の安達はアジア太平洋戦争期の食糧増産、鑿井事業についての分析、文化支配担当の齋藤は日本語教育の実施状況とその効果についての分析を順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
軍事支配担当の伊香はその調査成果をベースとして治安強化運動、治安軍、新民会、新国民運動等についての論文執筆を進める。政治支配担当の小林は対日協力政権の指導者と戦後彼らに対して行われた漢奸裁判についての論文執筆を進める。経済支配担当の安達はアジア太平洋戦争期の食糧増産政策と鑿井事業の展開について論文執筆を進める。文化支配担当の齋藤は日本語教育の実施状況とその効果についての論文執筆を進める。
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