研究課題/領域番号 |
20H01337
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
内村 俊太 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90710848)
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研究分担者 |
立石 博高 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (00137027)
高澤 紀恵 法政大学, 文学部, 教授 (80187947)
宮崎 和夫 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40251318)
久木 正雄 法政大学, 国際文化学部, 講師 (20846737)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 複合君主政 / 複合国家 / 地域国家 / 公共善 / 民衆層 |
研究実績の概要 |
本研究グループにおける2021年度の研究実績としてはまず、立石博高『スペイン史10講』において、本研究の理論的な枠組みになっている複合君主政論にもとづくスペイン近世国家の国制理解を提示し、一般の読者にも広く理解される基盤が形成された。これによって、スペイン複合国家とそれを構成する地域国家におけるダイナミズムを分析する本研究の位置づけをより明確な形で学界内外に提示することが可能になったといえる。 その一方で、本研究メンバーも共訳者として参加したF・コザンデ、R・デシモン『フランス絶対主義』が公刊されることで、スペイン・フランスの近世国家の比較研究をめざす本研究にとっても基盤的な前提となる知見・解釈が学界として共有された。 さらに個別の論文としては、スペイン複合国家の基軸となる地域国家であるカスティーリャ王国に関して、ローカルな地域社会における教会権力にとってのスペイン・カトリック王権との結びつきや、同じくローカル社会で活躍した在地知識人がスペイン近世国家の政体をどのように認識し、表象していたかについて論考を公刊し、本研究の視点であるスペイン複合国家を構成する地域国家のレベルでの実態解明を前進させた。 また、2021年度の西洋史学会大会においては本研究メンバーが各種のシンポジウムに登壇し、本来の各自の専門分野での研究経験にもとづきながら、歴史学研究・教育全般や歴史学における方法論に関わる議論に参加したことも2021年度の成果として重要な点であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため、スペイン・フランスの現地での史料調査等は断念せざるをえなかった。しかしその一方で、公刊史料や、各種の文書館等がインターネット上で公開している史料が増加するなかで、各種史料にもとづく実証研究を進展することは可能であった。これは、現地での調査が可能になった段階での文書館等での調査の基盤として今後機能することになると思われる。 また、本研究の2年度目としての2021年度には各メンバーが対象とする地域・対象についての個別研究を進め、定例研究会でその成果を共有するなど、3年度目以降の基盤となる体制が整えられた。なお、その成果の一部は2021年度公刊の論文や学会発表等でも公にされた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度以降の本研究の推進については、まずは引き続き各メンバーが対象とする地域・対象(カスティーリャ、アラゴン、カタルーニャ、イタリア諸邦、インディアス等)についての個別研究を深め、その成果を積極的に公刊することをめざす。その際、それぞれの地域における政体のあり方、公共善をめぐる王権・地域支配層・民衆層がうみだすダイナミズムに着目することで、本研究の進展をはかる。また定例研究会を定期的に開催し、各自の研究成果をグループ内で共有しつつ、本研究としての複合国家解釈を整理・発展させていく。 また、2022年度における新型コロナウイルス感染症の状況を慎重に判断したうえで、可能な場合には積極的に現地調査も実施し、新知見へのアプローチをめざす。
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