研究課題/領域番号 |
20H01343
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
青山 和夫 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (70292464)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | マヤ文明 / 政治経済組織 / 石器 / アグアダ・フェニックス遺跡 / 戦争 / モニュメント建築 / 農耕定住 / 比較考古学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、マヤ文明黎明期に建造されたアグアダ・フェニックス遺跡の神殿ピラミッド跡、支配層住居跡、農民住居跡や各建造物跡の周囲を対象に広範な発掘区を設定して層位的に全面発掘調査を行い、石器、土器、その他の全出土遺物及び神殿ピラミッドのようなモニュメント建築の出現と変容の詳細な分析を通して、まだ十分に解明されていないマヤ文明の起源と黎明期の政治経済組織の詳細を実証的に明らかにすることである。新型コロナウイルス感染の蔓延のために、2020年度に引き続き2021年度もメキシコに調査に行けなかった。ピンチをチャンスに変えるべく、これまでの研究成果を論文や本としてまとめることに力を注いだ。最も大きな研究活動として、単著者『マヤ文明の戦争:考古学から辿る痕跡と盛衰』の原稿を完成させた。本書は、考古学から戦争の痕跡を通時的に辿り、マヤ文明の戦争が社会の複雑化に果たした役割と戦争の性格を論じてマヤ文明の盛衰と実像に迫るものである。これまでに先スペイン期のメソアメリカやアメリカ大陸の戦争を扱った論文集が英語で出版されている(たとえば、Brown and Stanton 2003; Morton and Peuramaki-Brown 2019; Nielsen and Walker 2009b; Scherer and Verano 2014)。9世紀前後のいわゆる古典期マヤ文明の衰退と戦争に関する論文集もある(Iannone et al. 2016)。ところが不思議なことにマヤ文明の戦争を通時的に論じた単著は国内外のいかなる言語でも書かれていない。本書は世界で初めてマヤ文明の戦争を通時的に論じる単著書であり、2022年度に京都大学学術出版会から出版される。査読論文としては、松木武彦と共著で「古墳文化とマヤ文明:比較考古学研究事始」を 『文明動態学』創刊号に出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染の蔓延のために、メキシコの現地調査を実施できなかったが、ピンチをチャンスに変えるべく京都大学学術出版会から出版する単著書の原稿や査読論文を完成することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
京都大学学術出版会から刊行する単著者『マヤ文明の戦争:考古学から辿る痕跡と盛衰』の初校、再校、三校の校正を行い、2022年内に出版する。6月にメキシコの現地調査を実施して、石器の属性分析を行い、石器の製作技術や空間・時間分布について明らかにする。支配層と農民の手工業生産及びチャート製・黒曜石製武器の機能を復元するために、高倍率の金属顕微鏡による石器の使用痕分析を実施するが、そのための石器サンプルを日本に持ち帰るための手続きを行う。メキシコ高地・グアテマラ高地産黒曜石の遠距離交換の通時的な変化を検証するために、ハンドヘルド蛍光X線分析計による全黒曜石製石器の産地同定を行うが、そのための黒曜石製石器のサンプルを日本に持ち帰るための手続きも行う。
|