研究課題/領域番号 |
20H01348
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
篠原 和大 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30262067)
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研究分担者 |
中山 誠二 帝京大学, 付置研究所, 教授 (60574142)
大庭 重信 一般財団法人大阪市文化財協会, 学芸部門, 課長 (60344355)
中村 豊 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (30291496)
三吉 秀充 愛媛大学, 埋蔵文化財調査室, 准教授 (50284386)
貴田 潔 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (30759064)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 農耕文化複合 / 比較考古学 / 多様性 / 農耕空間 / 水田土壌 / 畑土壌 / 地形環境 |
研究実績の概要 |
本研究では、日本列島とその周辺の初期の農耕社会の農耕戦略の多様性を説明することを目的とする。このため、各地の多様な環境に成立した農耕空間に対して、①作土の土壌学的な特徴と形成過程、②農耕空間の構造とシステム、③土壌・地形・水利等の環境への適合の3つの視角から検討を行う。2022年度事業は、韓国を含む各地農耕空間の調査、畑空間および水田空間に関する研究プラットフォームの構築推進及び研究会の開催などを中心に研究を進めた。 1)昨年度に引き続き、農耕空間研究プラットフォームの構築を進めた。毎月のオンラインの研究会でミニ報告と検討を進め、3月のオンライン研究会で、篠原の農耕空間の分類と研究プラットフォームについての報告(①~③)、三吉の文京遺跡土壌微細形態に関する報告(①)、大庭の山陰地域の灌漑システムについての報告(②)、中村の四国の弥生農耕空間の特徴に関する報告(②~③)、中山のレプリカ調査に関する報告が行われ、研究のまとめに向けての整理が進められた。 2)現地での実物や事例の調査検討を進めた。10月に静岡市曲金C遺跡水田跡の検討、12月に山陰地域の弥生水田遺跡立地調査、12月、2月に登呂遺跡試掘水田土壌の検討、大庭・中山による大阪府長原遺跡のレプリカ調査、3月に静岡県白岩遺跡のレプリカ調査をおこなった。また、韓国での青銅器時代農耕遺跡の調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で繰り越しした。 3)登呂遺跡実験水田での栽培実験と土壌調査を継続して行った。また、中山による圧痕調査も進められ、上記長原遺跡、白岩遺跡の分析が進められている。 4)2023年度9月に、繰り越しした韓国忠清南道および慶尚南道の青銅器時代農耕遺跡現地調査を実施して2022年度事業を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大がたびたび繰り返された影響で、現地検討会、研究会等が中止になったり、メンバーが十分に集合できないことが多々あった。同様の影響で、予定していた文韓国調査は繰り越しを行い2023年度に実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、農耕空間の①作土の土壌学的な特徴と形成過程、②農耕空間の構造とシステム、③土壌・地形・水利等の環境への適合の3つの視角から、研究会の開催などによって、構築した研究のプラットフォームの適用を図りながら研究のまとめに入っていく。 1)昨年度までに構築してきた研究のプラットフォームに基づき各自のフィールドやこれまでの調査で検討した事例について分析を進める。3つの視角は、①畑および水田の作土の構造の諸類型。②水田灌漑システムの分類、畑の造成環境、形態の分類。③水田および畑立地の地形環境の分類であり、それぞれのスケールで分類図や地形図を作成しながら分析をする。それぞれのフィールドは篠原が静岡平野、菊川平野、大庭が大阪平野、山陰地域、中村が徳島平野、三吉が松山平野を担当し、研究会の開催などにおいてそれぞれの比較も進める。2)現地での実物や事例の見学の最終段階として、徳島平野、松山平野の調査を全員で行う。また、昨年度までの韓国の予備調査をもとに全員での本調査を行い、日本列島の農耕の多様性についての起源や系統について考察を進める。 3)農耕空間についての最終的な実験、分析を進めて結果の取りまとめを進める。篠原による登呂遺跡実験水田栽培実験、静岡大、徳島大関係地(主に中村が分担)での畑作実験である。4)これまで実施してきたレプリカ法の成果物について分析結果の取りまとめを進める。資料の同定・評価を主に中山が、各事例へのフィードバックを試料採取を担当した大庭、篠原、中村、三吉が進め、全員で総括の議論を行う。5)貴田は、研究の全体を俯瞰しながら、歴史地理学的な評価検討を進める。6)年度末に総括に向けた研究会・シンポジウムを行う。 2024年度は研究の総括を進める。
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