研究課題/領域番号 |
20H01412
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
島村 恭則 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10311135)
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研究分担者 |
周 星 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (00329591)
山 泰幸 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (30388722)
桑山 敬已 関西学院大学, 社会学部, 教授 (50288057)
岩本 通弥 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (60192506)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 世界民俗学 / 現代民俗学 / 中国民俗学 / フォークライフ研究 / フォークライフ・フェスティバル / アメリカ民俗学 |
研究実績の概要 |
1.当初の計画どおり、2020年7月25日に中国・華東師範大学民俗学研究所をカウンターパートとする「現代民俗学の課題」をオンラインで開催し、中国側5名、日本側2名の研究発表とそれにもとづく討論を実施した。そこでは、「日常」「ヴァナキュラー」という概念をめぐる日中間における理論的な課題について活発な議論が行なわれた。 2.新型コロナウィルス感染症の拡大のため、予定していたインドでの海外調査は実施できなかったため、計画を変更して、世界民俗学史に関する以下の2つの文献研究を実施した。すなわち、①20世紀前半にスカンジナビア半島からはじまったフォークライフ(物質文化、儀礼、信仰に関する民俗の総称)研究がいかに世界各地に拡散したか、②日本の民俗学における世界民俗学的志向の系譜はいかなるものか、である。その成果として、①については、アイルランド、スコットランドなどヨーロッパの周辺地域に伝播し、そこで野外博物館の発生を促したこと、第二次大戦後、フォークライフ研究はヨーロピアン・エスノロジーという枠組みに生まれ変わり、それが今日のヨーロッパにおける「民俗学」のディシプリンに成長していること、またフォークライフ研究はアメリカ合衆国にも伝播し、そこでスミソニアン・フォークライフフェスティバルなどのフォークライフ・フェスティバルや米国議会図書館フォークライフセンターの創設につながったこと、また理論的には、現在のアメリカ民俗学における「フォークロア&フォークライフ」という枠組みを形成するに至ったことなどを明らかにした。コロナ禍による代替措置ではあったが、有益な成果を生み出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、予定していた海外調査は実施できなかったものの、代替措置としての文献研究の計画を、予算の執行計画の再検討(計画的な繰り越し・再繰り越し)も含めて十分に練り、実施していった。そのため、「研究実績の概要」欄で記載したとおり、大きな成果を得ることができ、また予算執行面でも予算を有効に活することができた。以上のことから、「当初の計画以上」とまではいえないが、「おおむね順調に進展している」との自己評価を行った。なお、この自己評価の裏付けとなる研究成果は、2024年度に本科研の成果とりまとめ図書として刊行予定の『世界のなかの民俗学』(実生社より刊行内定済み)において公にされることになっている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度分は、上記のとおり「おおむね順調に進展」したので、引き続き、2021年には、第2回目の国際シンポジウムを韓国との間で予定どおり実施するとともに、海外調査に関しては、新型コロナウィルス感染症拡大が収まらないことから、代替計画(文献研究と国内調査)を十分に練り上げ、実施していく予定である。
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