研究課題/領域番号 |
20H01413
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
卯田 宗平 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 准教授 (40605838)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 鵜飼 / ドメスティケーション / 動物利用 / 日本列島 / 物質文化 / アユ |
研究実績の概要 |
2020年度は、現地フィールド調査の機会が限られるなか、おもに広島県三次市の三次鵜飼を対象とし、鵜飼で使用されている鵜舟や鵜籠、竹竿、魚籠、手縄といった物質文化の測量、江の川で生業としておこなわれていた時代の資料収集、日々の操業場所と状況を記した「漁日誌」などの記録の収集と整理をおこなった。また、江の川において生業として続けられてきたアユ刺し網漁に関する「年別漁獲量」資料を整理し、鵜飼い漁と同じくアユを狙う刺し網漁の歴史的な変容も把握できた。2020年度に収集して整理した資料は、2021年度以降に実施する日本列島の鵜飼に関わる地域間比較研究のための基礎資料とすることができた。 このほか、今年度はこれまで日本や中国、北マケドニア共和国で実施してきた一連の鵜飼研究の成果をまとめ、鵜飼が成りたつ原理や動物利用の論理を明らかにした内容を単著としてまとめ、2021年度出版の見通しを立てた。さらに、2020年度は鵜飼に関わる各個研究から展開した成果を論集としてまとめ、『野生性と人類の論理』(東京大学出版会)として2021年度出版の見通しを立てた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は当初から新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、本来実施する予定であった日本国内フィールド調査のうち二か所がおこなえず、想定していた一次資料を得ることができなかった。ただ、当該地域の鵜飼に関する文献資料を収集し整理したため、2021年度以降に実施するフィールド調査の基礎資料を準備することはできた。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究では、(1)ひきつづき広島県三次市における三次の鵜飼に関わる物質文化や歴史資料、ウミウの飼育技術に関わるフィールド調査を実施するとともに、(2)愛媛県大洲市や京都府宇治市の鵜飼に関わる物質文化に関わる調査も開始する。そのうえで、(3)地域間比較の視点から三地域の比較作業をおこない、それぞれの地域の共通性と相違性、違いが生まれる要因を明らかにする。また、日本列島の鷹狩り文化などとも比較することで鵜飼文化の特異性を導きだす。
|