研究課題/領域番号 |
20H01474
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
浅野 亮 同志社大学, 法学部, 教授 (10212490)
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研究分担者 |
村田 晃嗣 同志社大学, 法学部, 教授 (10284126)
佐藤 考一 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (80296409)
中谷 直司 帝京大学, 文学部, 准教授 (70573377)
松本 明日香 東京都立大学, 国際センター, 特任助教 (90775058)
山口 航 帝京大学, 法学部, 講師 (90735317)
張 雪斌 大阪経済法科大学, 国際学部, 准教授 (10781536)
黒杭 良美 明石工業高等専門学校, 人文科学系, 助教 (50849338)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 一帯一路 / 米中関係 / 国際秩序 |
研究実績の概要 |
2022年度および2023年度には、「一帯一路」の再検討という目的のもと、各年度に1度ずつ研究メンバーによる発表を中心にセミナーを開き、外部からの討論者を招いて意見を聴取した。また、このセミナーとともに、技術や安全保障など、目的達成には不可欠だが研究メンバーだけではカバーしきれない分野では、複数の外部講師を招いて研究会を開いた。これらの研究をまとめて社会に還元するため、外部講師のうち4名にも執筆を依頼し、最終年度内の2024年6月を締切として書籍を刊行することとなった。 開催したセミナーと研究会は以下のとおりである(研究メンバーの所属は省略)。 2022年度 7月2日 岑智偉(京都産業大学)「『世界的経済循環論』から読み解く『一帯一路』」。10月22日 黒杭良美「『一帯一路』についての考察。11月12日 松尾昌宏(桜美林大学)「中欧間鉄道輸送は、競争力を維持しうるのか」。2023年1月21日 手塚沙織(南山大学)「米中対立下の高度人材の国際移動」。2月18日 BIR科研セミナー「国際秩序と米中関係」(中谷直司「国際秩序の平和的変更の困難と倫理性:歴史的視座」、松本明日香「米中間選挙と結果と国際秩序形成」、張雪斌「一帯一路構想における文化交流」)。 2023年度 5月20日 鈴木昭吾(外交学院(北京))「一帯一路」と留学生の受け入れ政策。7月29日 下平拓哉(事業構想大学院大学)「中国の海外軍事基地」。10月14日 Reinhard Drifte (Emeritus Professor, New Castle University, UK), "China’s Yi Dai Yi Lu: European Perspectives."
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が必ずしも順調に進まなかった理由として、新型コロナに加えて、中国の「反スパイ法」改定により、海外交流と意見交換が制限されたことが挙げられる。しかし、研究会ではオンラインを使って開催するほか、日本で行うセミナーの規模を大きくしない、海外渡航は少人数で行うなど、手段を工夫して、共同研究を進めた。参加者が約20名以上というやや人数を多くしたセミナーは2022年度と2023年度にそれぞれ1回ずつ開催した。 この共同研究の成果を書籍化することでコンセンサスを得て、出版社(法律文化社)も決まった。執筆陣には、研究メンバーだけでなく、研究会で報告した外部講師の中から4名が加わった。この結果、「一帯一路」では経済(特に貿易と投資)に重点を置いてきた先行研究の蓄積の上に立ちつつ、より多面的な分析を加えることができる見込みがたった。このようにしてみると、代替策は成果を出しており、研究はおおむね順調に進んできたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的に変わりはない。すなわち、「一帯一路」とは何かという根源的な疑問に対する解答を、国際関係の視点から新たに提示することである。これまで進めてきた研究においてもまだ不足と思われる二つの基礎的な分野(海洋、及び歴史分析)について外部講師による報告会をそれぞれ開き、最終年度における総括に向けて調整を進める。それと並行して、研究メンバー7名と外部講師4名から原稿を集め、書籍化を完成させる。このようにして、執筆項目には、輸送、軍事、科学技術などが新たに加わるので、歴史、地域・国際関係と分野の三つのベクトルを組み合わせて立体的、また多角的に分析を進めることとしている。その結果、「一帯一路」が経済も含むがそれに限られていない複雑な政策メカニズムの上に構築されてきた論理を明らかにできると期待される。このようにして、「一帯一路」に関する先行研究との差別化を図りつつ、この分野の基盤をさらに強化することができる。研究会には、若手の研究者も招き、この共同研究終了後にも、これまで培ってきた研究基礎を受け継いて活用できるようにする。
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