研究課題/領域番号 |
20H01524
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
山崎 志郎 東京都立大学, 経営学研究科, 客員教授 (10202376)
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研究分担者 |
竹内 祐介 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (30711238)
林 采成 立教大学, 経済学部, 教授 (40760228)
河村 徳士 城西大学, 経済学部, 准教授 (80726191)
見浪 知信 桃山学院大学, 経済学部, 講師 (80824309)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 物資需給計画 / 民間貿易再開 / 配給公団 / 国家管理貿易 / 米軍占領政策 / 韓国軍政庁 / 傾斜生産方式 / 物資輸送計画 |
研究実績の概要 |
本研究計画では、戦後占領期における経済復興のシステムを国際政治経済情勢、米国の陸海軍・国務省の戦後国際秩序構想、GHQ戦後改革政策を踏まえて、総合的に解明することである。その問題を総括的に示すものが物資需給計画であり、これは戦時経済総動員の根幹を担った物資動員計画を継承したものであった。その立案と実際の産業復興の分析は、原燃料輸入、基礎物資、石炭等のエネルギーの供給と、重点産業への配給実態は産業復興に向けた基本的システムを示している。 総括担当の山崎は、1945年度下期計画に続いて、今期は46年度計画の立案と実施過程を分析し、以下の点を明らかした。①進駐軍の住宅等の建設資材の需要が突出して大きく、日本経済の復興の足かせになった。②第1、第2四半期の計画物資配当では、45年第3四半期計画の生産財部門重視から転換し、消費財部門の復興が優先された。その結果、生産財生産の本格再開が遅れることになった。③計画物資の生産、製品割当、流通在庫管理、出荷管理、輸送管理を徹底するため、日本側は一元的配給統制機関による厳格な統制の継続を希望していたが、GHQ経済科学局の反独占政策によって、結局緩い統制になった。④46年度下期に生産衰退が始まって、再び生産財重視に転換し、石炭増産と産業合理化によるインフレ回避、生産増強を目指すことになった(傾斜生産)。しかし、軍の特殊資材が利用できた時期を逃すなど、遅すぎた政策転換は国民生活に大きな犠牲を伴うものになった。 また、今期、分担者の林は南朝鮮の米軍占領政策について、見浪は民間貿易の再開に向けた貿易業者、中小輸出工業の対応について、竹内は物資輸送計画の具体的内容と鉄道長期復興計画の立案について、河村は電気機械工業の復興過程について、林は南朝鮮の米軍政について、資料調査と分析を進めた。研究協力者の宣は日本の労使関係、呂は軽機械工業について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1次資料の発掘作業は、実施できなかったが、国立公文書館のデジタルアーカイブで「経済安定本部等資料」や幣原、吉田、片山首相期の閣議関係資料が公開されたことで、経済政策の立案、実施過程の分析を進めることができた。「経済安定本部等資料」は必ずしも体系的に整理されておらず、公文書作成時の原型も保っていないと見られるため、全体像の把握に時間がかかっている。しかし、分担分野について、研究分担者・協力者のそれぞれが分析を進め、重要資料はデータをクラウドで共有することで、資料調査作業を迅速化している。 当初計画で予定していた、日韓研究者を集めた研究成果のシンポジウムは、この間、開催できなかったが、オンラインによる研究会を通じて日韓の研究者の研究状況について、必要な情報を共有し、研究の交流を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)日韓ともに人的交流が徐々に解禁される見通しになったため、可能であれば、当初予定していた相互の資料調査、日韓それぞれの大学でのシンポジウムの開催を検討する。(2)国会図書館のGHQ・SCAP資料や、各種史料館所蔵の占領政策、戦後産業実態に関する原資料の調査を本格化させる。(3)共同研究の成果の学会発表、論文発表を積極的に行い、内外の研究者との交流を進める。(4)必要に応じて内外の専門研究者を招き、その知見を共有する。(5)未整理状態ないし断片的になっている復興期の数量データについて、アルバイト等を利用して入力し、整理を進める。(6)刊行された資料集、研究書等の文献を購入する。
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