研究課題/領域番号 |
20H01548
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
谷川 智彦 立命館大学, 経営学部, 准教授 (70802635)
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研究分担者 |
鄭 有希 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00468828)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | トップ・マネジメント・チーム / ダイバーシティ / 性別 / 国際比較 / 企業業績 |
研究実績の概要 |
2022年度の取り組みとして、本研究課題の理論的側面に着目したレビュー論文が編著『経営組織論のフロンティア』の一部として公表された。本研究では、主要学術誌に掲載された経営幹部におけるダイバーシティを扱った研究に対するレビューから、既存研究が経営上層部理論やミクロ組織論における理論が用いられる傾向があることを明らかにした後、今後の理論的発展可能性として資源依存パースペクティブのような経営幹部の性質を踏まえた理論を用いる可能性を指摘した。 また、本研究課題と関連した実証研究においても研究成果が『立命館経営学』に掲載された。この研究では、日本企業を対象に経営幹部層を構成する社長と他の経営幹部との経験の共有と企業の成果との関係性が検証された。その結果、社長と経営幹部との経験の共有は予想に反して、ROAとは非有意な関係があり、R&D集約度に対しては有意なマイナスの関係があることが明らかとなった。 この他にも、本研究課題と関連して、昨年度インパクトファクター付きの査読付き英文学術雑誌であるCulture and Organizationに投稿し、修正・再提出(R&R)の評価を得ていた、職場における「空気を読む」現象を明らかにすることを目的とした実証研究について、2022年度も継続して修正作業を行い、再提出後、掲載が受理され成果が公表された。 なお、この他にも日本企業のデータを使用した研究成果をインパクトファクター付きの査読付き国際学術雑誌に投稿しており、R&Rの評価を得ていることを付記する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までは新型コロナウイルスの感染拡大によって国内外での研究活動、特に本研究課題の遂行に必要不可欠な海外企業のデータ収集において進捗が遅れていた。しかし、昨年度はいくつかの点において状況が改善された。 まず、海外企業に先行して収集した日本企業のデータを使用した研究成果がまとまりつつあり、査読付き英文学術雑誌や国際学術会議への投稿準備が整いつつある点が挙げられる。具体的には、現在インパクトファクター付きの査読付き英文学術雑誌よりR&Rの評価を得ている研究成果が一つあり、また、その他の実証研究の成果についても国際学術会議や英文学術誌に投稿する準備が整いつつある。 また、海外企業のデータ収集についても、本研究課題の研究期間の最終年度である2024年度、客員研究員として海外の研究機関に滞在することが研究代表者の大学より許可された。そのため、懸案事項であった海外企業のデータ収集についても、最終年度ではあるが収集可能な見通しである。 以上の点に基づいて、現在の進捗状況を「(3)やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、①日本のデータを使用した研究成果の公表作業と②2024年度のデータ収集の事前準備が挙げられる。 まず、昨年度までに収集・分析した日本企業に関する研究成果を公表する作業に注力する予定である。具体的には、現在査読付き英文学術雑誌よりR&Rの評価を得ている研究成果について、引き続き修正作業を継続することで2023年度中の掲載受理を目指す。また、その他の研究課題についても、論文化した後、国際学術会議や査読付き国際学術誌に積極的に投稿することを予定している。 また、上記の通り、2024年度、代表研究者が海外の研究機関にて客員研究員として滞在することが許可された。本研究課題の研究期間の最終年度にあたるため、迅速なデータ収集・研究成果の公表が求められる点を考慮し、2023年度は2024年度のデータ収集が円滑に進むよう変数やデータベースの特定など必要な準備作業を行うことを予定している。
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