研究課題/領域番号 |
20H01549
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鶴見 裕之 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (70581198)
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研究分担者 |
真鍋 誠司 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (10346249)
椛島 洋美 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (20336043)
大沼 雅也 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (30609946)
齊藤 孝祐 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (40721436)
君島 美葵子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50645900)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 購買行動 / 移動行動 / マーケティング / 都市計画 / デジタル化 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの影響を受けて、デジタルとリアル空間を融合した顧客体験の提供が企業や地域間の競争において重要な要素となった。リアルな体験を継続的に享受するためには、その基盤となるモビリティ(移動性)の確保が不可欠である。そのため、移動需要を生み出すための新たなコミュニケーションのあり方についての研究が求められている。この観点から、以下の3つの研究を実施し、その成果を報告した。 第1に、神奈川県での小量乗合輸送サービスの実証実験期間中に、利用者の行動データ収集のための調査を実施し、その課題を抽出した。個人の交通行動における習慣性に着目し、交通手段選択の異質性とその要因を明らかにした。 第2に、スマートフォンアプリ上でのクーポン発信やオンライン・カスタマーレビューが購買行動に与える影響を分析した。機械学習アプローチによりオンライン・レビューの感情分析を行い、感情表現と商品の不確実性がレビューの有用性に影響を与えることを示した。また、広告におけるコンセンサス言語と数字表現が購買意欲に影響を及ぼすことを明らかにした。ロイヤルティプログラムの会員行動の分析フレームを開発した。 第3に、サービスの社会実装を想定し、オープン・プロセス・イノベーション、パフォーマンス・マネジメント、特許審査の機械学習、経済安全保障とインフレの関係、アジア貿易協定に関する研究を実施した。これにより、デジタル時代における社会背景の変化を踏まえた経営戦略への示唆を得た。 これらの成果は、デジタルとリアル空間の融合による顧客体験の提供という観点から、新たな価値創出の可能性を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究の進捗状況については、「概ね順調」と評価できる理由は以下の通りである。 デジタルとリアル空間の融合による新しい顧客体験創出に向けて、移動の自由を確保するための研究や、デジタル空間のコミュニケーションを経営戦略に活かす方策について、着実に知見が蓄積されている。 さらにオープン・プロセス・イノベーション、パフォーマンス・マネジメントといった事例研究から、デジタル時代の経営戦略についての示唆が得られている。並行して本研究を多角的に支える知見が蓄積されつつあります。 このように、フィジカルな顧客体験とデジタル空間を融合させる上で重要な論点について、理論と実践の両面から研究が積み重ねられていることから、現在の進捗状況は「概ね順調」と評価できるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
(a) 小量乗合輸送サービスが移動行動・購買行動に与える影響分析、(b) アプリ上のコミュニケーションが消費者行動に及ぼす影響分析、(c) デジタル時代における経営戦略論の3側面からの研究を進める。 (a) についてはデジタル技術を活用した高齢者支援策について、フィジカルな移動の自由を確保するための具体的方策をさらに探求する。(b)については広告表現や決済手段などのデジタルコミュニケーションが購買行動に与える影響について、より広範な領域でデータを収集・分析し、その効果的な活用方法を明らかにする。 (c)については地域ブランディングなどの事例研究を重ねるとともに、デジタル化におけるガバナンスのあり方について、理論と実践の両面から検討を深める。
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