研究課題/領域番号 |
20H01640
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
結城 恵 群馬大学, 大学教育・学生支援機構, 教授 (50282405)
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研究分担者 |
岩瀧 大樹 立教大学, 文学部, 准教授 (30615662)
大和 啓子 群馬大学, 国際センター, 講師 (60640729)
佐藤 由美 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (80235415)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 外国籍児童生徒 / 不就学 / 不登校 / 教育支援 / 質的研究 / エスノグラフィ |
研究実績の概要 |
不就学あるいは不登校状況にある学齢期にある在留外国人の子どもは、学齢期にある日本人の子どもより高い頻度で発生している。本研究は、この実態に注目し、学齢期にある在留外国人の子どもの「長期間学校に行かない状況」が、どのようなメカニズムで発生し、継続、あるいは解消するのか、その様相は、異なるエスニックグループでどう違うのかを解明することを目的としている。
令和2年度は、当初目標とした、①文献検討、②協力団体・学校等の視察、③調査実施体制の調整、④パイロット調査の実施を計画した。その結果、上記①③は計画通り実施することができた。具体的には、研究分担者の専門領域の観点から先行文献の調査を実施した。また、研究対象地域となるX町、および、X町教育委員会との調整を進め、調査実施体制を整備することができた。
一方、上記②と④は、対面を前提とするものであったが、新型コロナウィルス感染拡大の状況により、計画を変更し、オンラインでの実施とし、当初の目標を達成できるようにした。これは、上記③で協力を得られたX町教育委員会の支援によるところが大きく、上記②の対象となる学校等との調整、連絡が可能となった。さらに、上記④については、不就学・不登校状況にある子どもへの教育支援の実態とその在り方を検討する臨床心理分野からのアプローチを進めることができた。X町立Y小学校において神経発達症が疑われる子どもの担当教員と保護者からの聞き取り調査をパイロット調査として実施した。収集したデータを分析し、本研究への仮説を導き出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和2年度は、当初目標とした、①文献検討、②協力団体・学校等の視察、③調査実施体制の調整、④パイロット調査の実施を計画した。その結果、上記①③は計画通り実施することができ、上記②と④は、対面を前提とするものであったが、新型コロナウィルス感染拡大の状況により、オンラインでの実施に変更をし、当初の目標を達成できるようにした。以上のことから、令和2年度の研究は、予定していた計画を実施することができた。
また、計画を超えて実施することができたのは、特に上記④のパイロット調査である。上記④については、不就学・不登校状況にある子どもへの教育支援の実態とその在り方を検討する臨床心理分野からのアプローチを進めるものであり、X町立Y小学校において神経発達症が疑われる子どもの担当教員と保護者からの聞き取り調査をパイロット調査として実施した。収集したデータをM-GTAの手法を用いて解析し、神経発達症が疑われる子どもへの、担当教員と保護者のとらえ方と通級に向けた相互交渉過程を浮き彫りにし、特別支援学級に「通わない」状況を回避し、「通う」状況を生み出すための仮説を導き出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度に実施した、①文献検討、②協力団体・学校等の視察、③調査実施体制の調整、④パイロット調査の結果をもとに、予定通り、18歳~25歳の成人を対象とする。さらに、不就学・不登校の発生とその後の経緯の、エスニックグループの違いによる様相をとらえるため、平成3年度は、対象者にインタビュー調査を実施する。
新型コロナウイルスの感染拡大が終息しない状況にあって、研究の目標は変更せず、想定していた60名を対象とする調査を、次のように変更することとする。対象者数の数値目標60名を優先せず、対象者の過度な負担を回避することを前提に、協力可能な対象者の語りを「厚い記述」により、より網羅的にデータ収集し、構造的に分析することを優先する。その場合、対象者については、通信環境を備えており、、インタビューをうけることで通信に追加課金されない者とする配慮をする。
以上のような方策により、新型コロナ感染拡大の状況下にあっても、不就学・不登校状況の発生・継続あるいは解消過程の分類・整理と、「類型」の抽出をより妥当性の高いものとすることを令和3年度の目標とする。
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