研究課題/領域番号 |
20H01655
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
山口 美和 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (80465856)
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研究分担者 |
田中 住幸 札幌大谷大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (20814982)
酒井 真由子 上田女子短期大学, その他部局等, 准教授 (30591193)
鈴木 康弘 八戸学院大学短期大学部, 幼児保育学科, 講師 (40848701)
杉山 浩之 広島文教大学, 教育学部, 教授 (60187680)
木戸 啓絵 岐阜聖徳学園大学短期大学部, その他部局等, 講師 (90746439)
北澤 明子 秋草学園短期大学, その他部局等, 講師 (60736065)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自然保育 / 幼児教育・保育 |
研究実績の概要 |
2021年度の研究実施計画では、①保育者を対象とする質問紙調査の実施分析、②保護者を対象とする質問紙の内容の検討・完成・調査の実施、③滋賀県への聴き取り調査の分析の実施及び他の自治体への聴き取り調査の実施、④諸外国の資料収集及び海外での自然保育の視察を予定していた。 このうち①については、自然保育認定・認証を受けた園に勤める保育者を対象とする質問紙調査を郵送法にて実施した。調査期間は2021年5月から8月までである。配布数は4324、回収数は1374で、回収率は31.8%であった。また②の、認定・認証園に子どもを通わせる保護者を対象とする質問紙調査について、調査票を作成し、郵送法にて調査を実施した。調査期間は、2022年1月から3月までである。配布数は1984、回収数は現在計算中である。2つの質問紙調査については、外部に委託してデータ入力を行った。現在は、保育者対象調査の分析を行っているところである。 ③の自治体への調査は実施できなかったが、子どもへの影響に関する調査の一環として、自然保育認定園のうち、長野県の特化型認定を受けている園への視察調査を行った。11月29日に伊那市の「山の遊び舎はらぺこ」、12月20日に軽井沢の「森のようちえんぴっぴ」への視察を行い、保育者へのインタビューを実施した。現在、インタビューデータの分析中である。 ④については、新型コロナ感染症の拡大により、海外視察が困難であったため、海外の研究者への聴き取り調査を兼ねて、オンラインによる国際シンポジウムを開催した。ドイツからDr.Frank Francesco Birk氏を、韓国からChang Hee-Jung氏を招き、ドイツと韓国における自然保育の現状と国や自治体による支援制度についての情報提供を受けた。 これらの調査研究を進めるために、月1回のペースで研究会を行い、検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
保育者向け質問紙については、概ね計画通り進捗している。 一方、保護者向けの質問紙調査については、質問紙の設計と、調査対象の抽出方法の検討に時間がかかり、質問紙の配布が年度終わりの3月までずれ込んだ。保護者向け質問紙調査については、認定・認証園の教育的効果を明らかにするためには、認定・認証を受けていない一般園との比較が必要不可欠であるため、対照群となる一般園向けの調査票の作成が追加で必要となった。このため、保護者向け質問紙調査の分析の進捗は、やや遅れている。 また、昨年度同様、新型コロナウイルス感染症の流行により、国内・海外への視察調査は、ほとんど実施することができなかった。 自然保育認定・認証園への視察については、感染がやや収まった11月~12月に国内の調査を2か所行えた。しかし、調査すべき対象園は残り13園あるため、園への視察・聞き取り調査の進捗は遅れている。自治体を対象とする聴き取り調査についても、2021年度については、感染拡大の影響で一度も実施することができなかった。 また、海外への調査が行えないことの代替として、聞き取り調査を兼ねたオンライン国際シンポジウムを実施したが、情報提供が得られたのは韓国とドイツの2か国のみであり、北欧などからの情報はまだ得られていない。このため、海外視察調査についても、当初の予定通りには実施できていないことから、進捗としては遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙による量的研究に関しては、データ収集は進んでいるため、学会等での発表を視野に、分析を進める予定である。その際、量的研究の分析に詳しい研究協力者を加え、分析のさらなる加速を測る予定である。 また、現地調査を中心とする質的研究に関しては、これまで新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら実施時期を探っていたが、今後は、オンラインの活用などの方法も取りつつ、研究の推進に必要な情報が得られるよう努力していく。特に、新型コロナウイルス感染症の第6波以降は、子どもへの感染が拡大しているため、認定・認証園に外部からの視察が入ること自体が困難な状況が続いている。このため、当初の計画にある、研究者が園に入り、子どもの遊びの様子を参与観察するなどの調査の継続について、方法の変更も含め検討が必要である。対応策としては、現地の保育者に子どもの様子を撮影してもらい、その動画を分析するなどの手法が考えられる。 自治体への聴き取りについては、オンラインを積極的に活用するなどして、データ収集の推進を図っていく。 海外への視察は、対象地域の感染症拡大状況や、渡航制限解除の状況を見て、総合的に判断する。仮に2022年度も、海外渡航が困難な場合は、2021年度同様に、オンラインを活用した聞き取り調査を実施するなど、方法の変更を検討する。
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