研究課題/領域番号 |
20H01801
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小磯 深幸 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 名誉教授 (10178189)
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研究分担者 |
寺本 圭佑 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (10830002)
石渡 哲哉 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (50334917)
可香谷 隆 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (60814431)
松江 要 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (70610046)
安本 真士 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 学術研究員 (70770543)
本田 淳史 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90708611)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 変分問題 / 区分的に滑らかな曲面 / ピローボックス / 曲面の特異点 / 等長変形 / 可展面 / 自由境界問題 |
研究実績の概要 |
本研究の主たる研究対象はユークリッド空間内の区分的に滑らかな曲面(piecewise smooth surface. 以下ではPWS曲面と呼ぶ)及びその一般次元版である。PWS曲面とは、いくつかの滑らかな曲面を連続的に繋いだものであり、各点の近傍として円板がとれるようなものである。PWS曲面Sが可展面であるとは、Sからある平面領域Dへの連続な全単射写像fが存在して、S上の任意の長さ有限な曲線Cのfによる像f(C)の長さがCの長さと等しいときをいう。Sが滑らかならば、Sが可展面であることはSのガウス曲率が至る所0であることと同値であり、可展面は平面領域から伸び縮みさせることなく連続的に変形することにより得られる。折り紙のように「折る」ことによる変形を許せば、PWS可展面を考えることになる。PWS可展面の例としてピローボックスと呼ばれる閉曲面がある。これは、同じサイズの2つの長方形の境界をくっつけた(同一視した)二重長方形を伸び縮みさせることなく変形することにより得られるPWS閉曲面であって枕のような形のものである。ガウス・ボネの定理により、必ず「折り目」が生じる。ギフトボックスをはじめ工業的な応用があり、応用数学の観点からの研究が多数ある。本研究では、ピローボックスの体積についての変分問題を数学の問題として初めて厳密に論じ、「与えられた二重長方形と等長なピローボックス」の体積についての平衡曲面の一意存在、解の体積最大性、解の楕円積分を用いた表示式を得た。本研究は、PWS曲面に対する変分法や内在的な曲率概念構築のための良い例となる。 また、平面内の長方形領域を与えられた面積比を実現する2つの部分に分けてその境界の長さを最小化するという自由境界問題を考え、解の存在と個数・体積比の変化に対する解の安定性などを調べ、特に、体積比の変化に対する解の位相形の変化について著しい結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの流行のために、対面での研究打ち合わせや資料収集を行うことができなかったため、研究期間を延長した。最終的には、次年度の研究に滑らかに繋がる成果を得ることができた
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得たピローボックスに対する変分問題の解法、解の表示、及び、解が弾性曲線を底曲線とする柱面であることを例として、以下の2つの研究を進める。1.区分的に滑らかな曲面の内在的及び外在的曲率、等長性の概念と等長変形理論の整備。2.離散変分原理の構築。
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