• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

完全非線形方程式の粘性解の正則性理論とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 20H01817
配分区分補助金
研究機関早稲田大学

研究代表者

小池 茂昭  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90205295)

研究分担者 石井 仁司  津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (70102887)
小杉 卓裕  公立鳥取環境大学, 人間形成教育センター, 講師 (80816215)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード粘性解 / Lp粘性解 / 完全非線形方程式 / ABP最大値原理 / 障害問題 / 平均場ゲーム / 数理ファイナンス
研究実績の概要

完全非線形方程式の正則性理論はCaffarelliによって大きなブレークスルーがあり、その後、Caffarelli等によって、Lp粘性解の概念が導入された。Lp粘性解の正則性理論は、偏微分方程式論における発散型と非発散型の偏微分方程式をつなぐ統一理論の構築に大きく寄与すると考えられる。申請者は非斉次項や低階微分項の係数に非有界を含む冪乗可積分な関数も含めた場合に、正則性理論の基本となるABP最大値原理やHarnack不等式を導いた。
2020年には、完全非線形楕円型方程式の障害問題のLp粘性解の正則性を導いた。2021年には、完全非線形楕円型を含む障害問題の解の正則性に関し、未解決問題を明らかにし、その一部に解決を与えた。2022年には、完全非線形楕円型方程式のLp粘性解のABP最大値原理において、臨界指数でかつ、上接集合上に非斉次項の積分を制限した量で評価した。これにより、ベルマン型だけでなく主要項に凸性を仮定しない場合のアイザックス型の方程式に対してもLp粘性解がほとんど全ての点で方程式を満たすことを示した。さらに、ボニーの最大値原理を臨界指数係数を持つ完全非線形方程式に対しても示した。
さらに、障害問題の処罰法による近似近似解の収束のレートを準線型方程式や体化楕円型方程式へと一般化した。
一方、平均場ゲームにおける価格形成問題の既存の結果を最適制御理論を用いずに、より広い偏微分方程式系に対して、強解の存在と一意性を導いた。また、企業における配当の最大化問題を粘性解理論を用いて解析し、すでに共同研究者が研究集会にて講演している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2022年度に臨界係数を持つ完全非線形楕円型方程式のLp粘性解のABP最大値原理の完成系を得た。また、現在、対応する完全非線形放物型方程式の完成系を執筆中であり、共同研究者が6月にこの結果を国際研究集会で講演することが決まっている。
一方、平均場ゲームにおける価格形成問題を純粋に偏微分方程式論の技法のみで解析する。特に、方程式系の一部のハミルトン・ヤコビ方程式は粘性解理論では一意性もわからない設定であり、より強い解の正則性が必要になる。超関数による弱解の手法と粘性解理論の融合した技法が展開された初めての結果と言える。
さらに、配当最大化問題は、最適御問題において、非局所性、非単調性、非有界性という困難があるが、粘性解理論の精密な適用により解決しており、最適特異制御理論に現れる問題の解析に一石を投じている。

今後の研究の推進方策

完全非線形放物型方程式の正則性理論に関しては、時空の可積分性を分離したモレイ空間での強解の解析はN. V. Krylovにより盛んに研究されている。Lp粘性解理論への展開を推進していく。
平均場ゲームへの応用では、価格形成問題ではより一般的な仮定の下、さらに方程式系のカップリングのより強い場合へと一般化する。
数理ファイナンスでは、最適特異制御問題への応用は未開拓であり、次のステップでは、多次元化や様々な確率過程をベースとした最適制御問題の解析を推進する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] ABP maximum principle with upper contact sets2023

    • 著者名/発表者名
      Shigeaki Koike
    • 学会等名
      Nonlinear partial differential equations: theory, numerics and a conference in memory of Maurizio Falcone
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ABP maximum principle with upper contact sets for fully nonlinear elliptic PDEs2023

    • 著者名/発表者名
      Shigeaki Koike
    • 学会等名
      The 48th Sapporo Symposium on Partial Differential Equations
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi