研究課題
本研究は、大きく4つの研究[研究A]~[研究D]を並行して行っている。2020年度の研究内容は以下のとおりである。[研究A]代表者村川は、1成分の方程式に対する風上型有限体積法について研究し、その一意可解性、安定性、有限体積解の非負性、有界性、エネルギー消散性、収束性を示し、そこから方程式に対する解析的な結果を得た。また、2成分以上の方程式系を扱うための準備を行った。分担者野津はラグランジュ座標を用いた質量保存型有限要素法の高精度化の研究を推進し、2段法によって時間2次精度が得られることを線形移流拡散方程式において明らかにした。[研究B]実験、数理モデリング、数値実験を繰り返すことにより、カラム配列のメカニズムの解明に向けた研究を推し進めた。分担者佐藤は、細胞接着によって神経細胞が集合し機能単位を構成する現象について、神経細胞の形態および配置を制御する遺伝子の働きを実験により解明した。代表村川と分担者佐藤は共同で、カラム配列メカニズムを解明するための数理モデルを提案し、数値実験によって現象を再現した。ここから現象の本質を抜き出せるのか、形態形成のメカニズムを解明できるのかについて検討を進めた。[研究C, D]代表者村川と分担者富樫及び、研究協力者のシュワドレンカ・カレル(京都大学)の協働により、「界面張力の違い」と「各細胞の体積保存」という単純な原理のみからなる、微視的現象に対する数理モデル構成した。多くの数値実験結果から、提案モデルは感覚上皮細胞の形態形成過程を表現していることが示唆された。更に、その再現性が非常に高いことを実験データとの比較によって示した。提案モデルは非常に単純なものであり、現象の本質をとらえているものと考えられる。現象のメカニズム解明への応用が期待される。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通りに順調に遂行しているため。
研究は当初の研究計画通りに順調に進んでいる。2021年度も交付申請書に記載した研究実施計画通りに、研究を進める。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 3件、 招待講演 10件) 図書 (1件)
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