研究課題
本研究は、大きく4つの研究[研究A]~[研究D]を並行して行っている。2021年度の研究内容は以下のとおりである。[研究A]昨年度に引き続き、細胞選別現象に対する数理モデルの数値解析及び解析に向けた準備を行った。2成分問題について、その正則化の方法や時間離散スキームの解析方法について研究し、次年度の解析に向けた準備が整った。また、細胞集団モデルの数値的・解析的取り扱いを煩雑にしている非局所移流項を、線形拡散と反応の組み合わせによって表現するための近似について新たな知見が得られ、次年度の解析に向けた下準備を行った。[研究B]生物の脳の神経細胞はカラム構造と呼ばれる円柱状の構造を作っており、多数のカラムが六角格子状に規則的に並ぶことによって、脳の複雑な処理を可能にしている。カラム構造は脳の機能単位であり、カラム構造形成のメカニズム、カラム配列のメカニズムを理解することは神経科学における重要な研究課題である。昨年度に引き続き、カラム配列のメカニズムの解明に数理モデリングと数値実験の立場から研究した。細胞間の接着・誘因や反発に着目し、数値実験を進めた。[研究C]昨年度に引き続き、細胞接着力と細胞膜の表面張力の関係について、数理と実験の両側面から研究した。単純な原理のみからなる微視的現象に対する数理モデル及び数値解法を構成した。上皮細胞の形態形成を例に、我々の手法の有用性を確かめた。論文としてまとめ、[研究C]は完遂した。[研究D]聴覚、視覚、嗅覚などの感覚を司る感覚器官において、センサーの役割を担う細胞とそれを支える支持細胞は互い違いに並んだ構造をしている。初年度の研究において、この構造の形成メカニズムに差次界面張力仮説による説明が有効であることが示唆された。今年度は、界面張力と接着・収縮・硬さ・内圧等との関係性について実験と数値実験の観点から調査した。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通りに順調に遂行しているため。
研究は当初の研究計画通りに順調に進んでいる。2022年度も交付申請書に記載した研究実施計画通りに、研究を進める。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
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