研究課題/領域番号 |
20H01888
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
坂本 隆一 核融合科学研究所, 研究部, 教授 (10290917)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 粒子供給 / 固体水素 / 溶発 / 水素スペクトル / 高速分光 |
研究実績の概要 |
高温プラズマ中における固体水素の溶発過程と,溶発した水素がプラズマ中に均質化してゆく過程を,高空間分解能イメージング分光計測と高時間分解能スペクトル計測を組み合わせた新しい計測手法で調べ,プラズマへの粒子供給素過程を明らかにすることが,本研究の目的である. 2022年度は,昨年度までに開発を終えた「高空間分解能イメージング分光計測器」と「高時間分解能スペクトル計測器」を用いて,同一現象を同時観測する予定であったが,高空間分解能イメージング分光計測器に用いる高速カメラが,重水素プラズマから発生する中性子による照射によって故障してしまう問題が発生した.中性子の遮蔽対策をしてもシビアな影響を避けられないことから,また,一度,LHDの実験室内で実験に供した装置は放射化物となり,外部に持ち出すことができなくなることから,二つの計測の同時計測はLHD以外の他装置で行うことを決め,一つの候補として,最近,ペレット入射装置を導入したW7-X(ドイツ・マックスプランクプラズマ物理研究所)を挙げ,2022年の3月までに実験を行うことを検討した.しかしながら,W7-Xにおけるペレット入射装置の調整運転に時間がかかり,年度内には実験が実施できないことが明らかになり,来年度以降に実験実施を繰り越すこととした. 一方で,高時間分解能スペクトル計測器は,中性子照射の影響を受けずに計測できることから,2022年10月から2022年2月にわたって行われたLHDの実験キャンペーンにおいてペレット入射実験を行い,固体水素溶発発光の計測データの蓄積を行うとともに,計測機器の性能向上のための改修を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中性子照射による装置損傷のため,LHDにおける実験の実施を一部断念したことにより,ドイツ・マックスプランクプラズマ物理研究所のW7-Xを用いた実験実施を検討している.本研究の実施に必要となる,ペレット入射装置を備えた大型の磁場閉じ込め装置は世界でも数箇所のみであり,実験期間も限られているため,計画変更に伴って研究計画に遅延が生じている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的としている,高空間分解能イメージング分光計測と高時間分解能スペクトル計測を組み合わせた新しい計測手法の実施をする装置として,W7-X(ドイツ・マックスプランクプラズマ物理研究所)もしくはWEST(フランス・CEA磁場閉じ込め核融合研究所)を検討し,研究協力者との議論を継続する.一方で,海外の装置では,現地での作業が限定されるため,機動性の高い実験ができないことから,引き続きLHDを用いて部分的な実験は継続する.
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