研究課題
高速電波バースト(FRB)は正体の全く分かっていない新種の突発天体であり、約1 GHzの周波数帯の電波で数ミリ秒間という非常に短い継続時間に数Jy程度のフラックスをもつ。起源のわからない突発天体の正体を解明するには他波長の対応天体を発見することが重要な手がかりになるが、これまでにFRBの可視光対応天体は見つかっていない。FRBは短い時間スケールの現象であるため他波長の対応天体も同様に短い時間スケールを持つ可能性があり、その探査には各波長の観測装置に広い視野と短い時間分解能が必要とされる。本研究では、20平方度の広視野と秒スケール以下の時間分解能を持つ希有な装置である木曽シュミット望遠鏡のTomo-e Gozenを用いて電波望遠鏡との同時観測を行うことにより、FRBの可視光対応天体を探査する。2022年度にはカナダの広視野電波観測装置 Canadian Hydrogen Intensity Mapping Experiment (CHIME) との共同観測をさらに推進し、のべ50時間分のデータを取得した。また、repeating FRBを対象とした試験観測もFASTと共同で行った初期観測結果を論文として出版した他、FASTに加えて山口32m電波望遠鏡とも協力してさらに観測を行なった。また、これらの観測で取得したデータの解析から得られた知見をフィードバックして、可視光高速観測データから短時間突発現象を見つけ出すための解析ツールの性能向上を進めた。
1: 当初の計画以上に進展している
Non-repeating FRBの可視光放射探査観測はついては順調に観測を蓄積し、repeating FRBを対象にした試験観測も順調にデータ取得に成功しており、これらの結果を用いて解析ツールの改良も進んでいる。
これまでに行なった観測でのデータ取得状況を分析し、今後の観測をより効率化するために観測計画の再検討を行うことによってFRB可視光放射の探査速度を加速させる。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Nature
巻: 606 ページ: 873~877
10.1038/s41586-022-04755-5
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