研究課題/領域番号 |
20H01943
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮田 隆志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90323500)
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研究分担者 |
藤吉 拓哉 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (00450180)
大坪 貴文 国立天文台, 天文データセンター, 特任研究員 (50377925)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 天文学 / 赤外線 |
研究実績の概要 |
近年大きな発展がみられる時間軸天文学の中にあって、熱赤外線は未開拓の波長帯であり、そのモニタ体制は世界的にみても未整備である。本研究では、このモニタ観測を実現するうえで技術的課題であった感度校正を実現するユニットを開発している。 今年度の開発により、黒体炉とレンズからなる校正ユニットの設計製作を実施した。ユニットは小型の平面黒体炉とシリコンレンズ、鏡からなっており、黒体炉の温度を変化させることで装置に入社する光の量を変化させることができるものである。前年までの研究で光学機械設計が終わっていたので、これらの組みあげ試験を実施した。結果、無視できないレベルの入射光の非一様ビームパターンが見られた。解析の結果、このパターンはシリコンレンズの多重反射によるものであることを突き止めた。これをモデルを使って後処理的に除去することで、目標とする1%を十分に達成できることが確認できた。この成果は2022年にカナダモントリオールでの国際研究会でも発表した。併せて、校正ユニットを中間赤外線観測装置上面に取り付けるための機械系の設計と部品調達も行った。 観測研究準備では、ジャイアントインパクト関連の観測計画立案をすすめた。また太陽系内天体の観測については、関連研究者との会合を行い、計画のブラッシュアップも行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で実施している中間赤外線モニタ観測用の校正ユニットについては設計製作などは順調に進んできた。シリコンレンズの表面反射による入射光の非一様性の問題はあったものの、モデルとのフィットなどで解決する見通しもつき、十分な精度が達成できることも確認できた。全体的に物品の入手が難しく少し時間がかかっているものの、開発自身はおおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度で校正ユニットはおおむね完成したので、次年度以降は装置への実装を進める。また、モニタリング観測を行うには長期にわたる安定性も重要なのでその実験も進める。搭載するTAO望遠鏡の進捗にもよるが、状況が許せば装置を早めにチリに輸送し、観測準備を進めたい。また今研究で得られた成果は今後の地上赤外線観測の高精度化に資するものであるので、論文などでの発表も進める。
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