研究課題/領域番号 |
20H02035
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
坂田 誠一郎 近畿大学, 理工学部, 教授 (80325042)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マルチスケール確率応力解析 / 複合材料 / 三次元造形材料 / 強度推定 / ランダムフィールドモデリング / 等価弾性率推定 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、不均質材料からなる三次元体のマルチスケール問題に対し、特に計算力学的手法を用いて、従来より定量的な不均質材料の見かけの弾性率や強度などの特性評価を可能とすることを本研究の目的としている。このために、これまで取り組んできたマルチスケール確率応力解析手法の高精度化を含む改善、不均質材料の解析方法の検討に加え、実材料に内在するランダム性,不確定性の定量化手法の開発に並行して取り組み,両者を併用した不均質材料の特性評価法の確立にむけて研究を進めている。
当該年度に実施した研究内容は、研究計画書に従い、(1)実試験片に基づく二次元ランダムフィールドモデリングの自動化と一方向繊維強化複合材料への適用、(2)(1)に基づく一方向繊維強化複合材料ののマルチスケール確率応力解析の試行、(3)(2)について、実験との比較による妥当性検証の取り組みを進めた。 これらについて、具体的な研究実績として、(1)については一方向繊維強化複合材料の電子顕微鏡写真を用いた、介在物(繊維)の幾何学的情報(今回は特に繊維配置)の抽出と、それに基づく局所的な繊維含有率のランダムフィールドモデリングを行った、また(2)に関し、この成果を用いたマルチスケール確率応力解析を行い、微視的な応力場の確率特性に及ぼす繊維配置のランダムフィールドの影響を調査した。これらの成果は国際論文誌に投稿し、受理、掲載されている。一方、(3)に関しては、一方向繊維強化複合材料の微視的破壊進展までを考慮した解析を実施し、実験結果と比較して当該解析の妥当性検証を進めているが、定量的な比較のためにはさらなる解析モデル、解析手法の改善が必要との考察に至っているところである。
また、本研究課題においてあわせて目標としている、不均質材料のランダムフィールドモデリングに詳しい国外研究者との共同研究の開始に至っており、その点についても成果が上がりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画においては、令和3年度から4年度にかけて、三次元造形材料や繊維強化複合材料の二次元的なランダムフィールドモデリングの実施、それを用いたマルチスケール確率応力解析の実施ならびに実験等との比較による妥当性検証および手法改善を行うこととしていた。
これに対し、当該内容については一部国際論文誌に掲載となり、また国内外において成果報告に至っていることから、順調に進展していると考えている。一方、実験との比較による妥当性検証については現在確率応力解析に用いる強度評価手法の見直しなどを行っており、その進展が急務と考えている。
現在、令和4年度から5年度にかけて取り組む予定としていた三次元ランダムフィールドモデリングについてもすでに取り組み始めていることから、計画よりも進んでいる点もあり、総合して概ね順調に進展しているとの自己点検に基づく評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究については、今後も当初計画に基づき研究を推進する予定である。特に、実験との定量比較に適う計算力学的手法による材料強度評価手法について早急に検討を進めつつ、不均質材料の微視的な三次元ランダムフィールド作成手法について、研究を進める。 また、複合材料の強度評価への応用として、現在Stefanou教授との共同研究を進めており、特にミクロな構造をランダム考慮した強度評価に関するランダムフィールドモデリングに取り組んでいるため、その点についても取り組みを進める。
加えて、現在実験との定量的評価について検討を進める中で、より強度評価に適した微視的な幾何学的・材料特性パラメータの検討が必要と考えていることから、当初研究計画に加え、この点および手法改善も併せて行う予定である。
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