研究課題/領域番号 |
20H02071
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
榊原 潤 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10292533)
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研究分担者 |
土井 晋平 帝京大学, 医学部, 准教授 (80447789)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 胆管ステント / 逆流 / 大腸菌 / 肝内胆管 / レーザ誘起蛍光法 |
研究実績の概要 |
前年度までに構築した「十二指腸・胆管ステント内流動シミュレータ」に胆管を模した管路およびステント模型を設置した上で,レーザ誘起蛍光法による濃度分布の測定を行った.作動流体である水に蛍光染料ローダミンBを溶解し,十二指腸側を満たした上で,半導体励起Nd-YAGレーザを光源とする光シートをステント管軸に平行に照射した.得られた蛍光をCCDカメラで撮影することで,染料濃度に比例した蛍光を観測した.染料が胆管に流入する様子やその濃度分布、濃度の時間変化を得た.さらに、染料の拡散係数を推定し、分子拡散に比して乱流拡散が支配的であることを確認した. 胆管ステントの閉塞原因と考えられるバイオフィルム形成の初期過程を明らかにするために,主要な腸内細菌である大腸菌の壁面への付着特性を調べた.ガラス板と結合したマイクロ流路に大腸菌を流し,位相差顕微鏡下で観察しながら付着する個体数を測定した.せん断応力が約0.03 Paにおいて大腸菌の付着特性がキャッチボンドからスリップボンドに遷移し、ガラス板上に付着した大腸菌の数が最大となった. 豚胆管からメチレンブルーおよび生理食塩水を注入し,一定圧力下における透水係数を算出すると共に,総胆管から胆管上流部に流入する様子を観察した.肝内胆管が青色に着色したことから,総胆管から肝内胆管への流入を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「十二指腸・胆管ステント内流動シミュレータ」を用いて胆管ステント模型への染料逆流過程をレーザ誘起蛍光法で測定したことは,当初計画に沿った順調な進捗と言える.大腸菌の個体壁面への付着数を調査したことは有意義ではあるが,データの信頼性を高めるための継続的な実験が必要である.豚胆管への透水係数を求める実験を繰り返したことで,ある程度信頼できる値を得たことは,今後の研究を進める上の基盤となる成果である.
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今後の研究の推進方策 |
胆管ステント模型における染料濃度の測定を継続する.その際,再現性ある逆流流量を長時間にわたって与えるために,シリンジポンプを用いることを検討する.大腸菌の付着数を測定する実験を継続し,信頼性あるデータを取得する.豚胆管への逆流流量を求める実験に際しては,一定圧力に加えて周期的に加圧と減圧を繰り返す非定常圧力変動下における流量を求める実験を開始する.また,肝臓への逆流過程を知るために,X線撮影下で肝臓に造影剤を流し込む実験を実施する.
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