研究課題/領域番号 |
20H02385
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中田 和秀 東京工業大学, 工学院, 教授 (00312984)
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研究分担者 |
田中 未来 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 准教授 (40737053)
水野 眞治 東京工業大学, 工学院, 教授 (90174036)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 最適化 / 機械学習 / モデリング |
研究実績の概要 |
本年は、自動モデリングに適した機械学習法について包括的な調査をした後、一般化加法モデルを拡張することで人間の知見を取り入れたモデリングを実現するCGA2M+(Constrained Generalized Additive 2 Model +) の提案、反実仮想機械学習を利用した最適化を考慮した予測とその予測に基づく最適化法の提案、関数が不明な状況下での機械学習法を援用した関数の推定とその関数を使った最適化、効果的かつ安定的な最適化を行うためのupliftモデリングの提案、強化学習を援用した逐次最適化の実現、PCMF(Positive Collective Matrix Factorization)という新しい行列分解法による変数間の関係の自動モデリング法の提案、Attension付きニューラルネットワークを利用した予測など、多くの研究を行った。そして、それらの手法に対し、タクシーのGPSデータやオンライン広告の実データを適用することにより、その実用性の検証も行った。 また、近年急速に研究が進んだ汎用的な自然言語処理の技術であるBERTの本研究への応用について研究を深め、広告文の自動生成やテキスト文書からの情報抽出に成功した。 また、社会で実際に機械学習と最適化が利用されているシチュエーションについて理解するため、特に医療分野におけるナーススケジューリングと電子カルテデータを用いた業務改善、特許分野におけるカテゴリーの自動推定による出願や審査の効率化、ファイナンス分野における有価証券報告書やオルタナティブデータからの情報抽出について深く調査・研究を行い、これらの実問題の幾つかを解決することに成功した。 そして、これらの成果を4本の査読付き論文と16回の研究発表(内1回は国際会議)として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機械学習法と最適化を組み合わせるための手法について様々な可能性を考え、一つ一つについて研究論文や研究発表ができる程度まで深く研究ができている。また、手法の提案だけでなく、実際の社会で生み出されたデータを用いて検証もしており、理論と応用を両立して研究を進めている。当初の予定では、新型コロナウィルスの状況を見定め可能ならば研究課題に関する最新の情報を広く収集するためワークショップを開催するとしていたが、社会情勢は予想以上に悪くワークショップは開催できなかった。しかしながら、オンラインでの学会参加と発表は多く行っており、情報収集と発信の点では問題がない。
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今後の研究の推進方策 |
一年目に行った研究活動を継続し、機械学習法と最適化を組み合わせるための手法について様々な可能性を追求する。特にノイズに頑健な機械学習法と確率的なモデリングが可能である階層ベイズモデルの導入を試みる。そして、これまでに行ってきた機械学習と最適化に関する理論研究の知識を利用し、最適化に使うことが可能な数学的な構造や性質を最大限に利用して、できるだけ精度の高い近似最適解を導く最適化アルゴリズムを設計する。 上記の研究と並行して、これまで本研究者グループが数多く扱ってきた現実問題を含め広く現実の最適化問題を収集し、可能ならば提案手法の適用を試みる。得られた研究成果は積極的に査読付き論文や学会発表によって公表を行う。
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