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2022 年度 実績報告書

クロスリンク反応を利用したポリケタイド合成酵素の構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 20H02911
配分区分補助金
研究機関東京工業大学

研究代表者

宮永 顕正  東京工業大学, 理学院, 助教 (10623126)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード微生物酵素 / 結晶構造解析 / タンパク質間相互作用 / クロスリンク / ポリケタイド
研究実績の概要

モジュラー型ポリケタイド合成酵素 (PKS) はポリケタイド化合物の基本骨格構築を担う酵素である。その反応においては、アシル基を結合したキャリアータンパク質 (CP) がモジュール内に存在する各触媒ドメインに順番に運ばれ、一連の反応を受ける。各触媒ドメインはCPを認識して結合していると考えられ、その相互作用の詳細に興味が持たれる。
本年度は、昨年度に引き続き、抗生物質FD-891の生合成に関わるPKS GfsAのローディングモジュールの構造機能解析を検討した。GfsAのローディングモジュールは、KS様脱炭酸酵素 (KSQ) ドメインとアシル基転移酵素 (AT) ドメインとCPドメインの3つのドメインから構成される。KSQドメインにCPドメインが結合したGfsA CP=KSQ-ATクロスリンク複合体の結晶構造解析を進めた。その結果、分解能3.4 Åでの構造を決定することに成功し、KSQとCPの間の相互作用様式を明らかにすることができた。決定した構造は、脱炭酸過程におけるPKSローディングモジュール全体構造に相当することから、意義深い結果であるといえる。より高分解能の構造を決定すべく、GfsA CP=KSQ-ATクロスリンク複合体の結晶構造解析を継続して進めている。クライオ電子顕微鏡データも収集しており、現在、解析を行っている。
また、今年度は、クレミマイシン生合成に関わるPKSに含まれる脱水酵素 (DH) ドメインとCPのクロスリンク反応を新たに検討した。パンテテインアミドプローブを用いてCPドメインを修飾したのちにDHドメインを混合したところ、これらのクロスリンク複合体が特異的に得られることがわかった。現在、得られた複合体を精製し、結晶化の検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

KSQドメインとCPドメインのクロスリンク複合体の結晶構造を決定することに成功したことから、順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

引き続きPKS触媒ドメインとCPの複合体についてクロスリンク反応を検討し、クロスリンク複合体が得られれば、結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡解析を検討する。得られた成果について、学会発表や論文発表を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Structural Basis of Transient Interactions of Acyltransferase VinK with the Loading Acyl Carrier Protein of the Vicenistatin Modular Polyketide Synthase2023

    • 著者名/発表者名
      Miyanaga Akimasa、Kawada Koichi、Chisuga Taichi、Kudo Fumitaka、Eguchi Tadashi
    • 雑誌名

      Biochemistry

      巻: 62 ページ: 17~21

    • DOI

      10.1021/acs.biochem.2c00645

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Protein‐Protein Recognition Involved in the Intermodular Transacylation Reaction in Modular Polyketide Synthase in the Biosynthesis of Vicenistatin2022

    • 著者名/発表者名
      Chisuga Taichi、Miyanaga Akimasa、Eguchi Tadashi
    • 雑誌名

      ChemBioChem

      巻: 23 ページ: e202200200

    • DOI

      10.1002/cbic.202200200

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Recent advances in the structural analysis of adenylation domains in natural product biosynthesis2022

    • 著者名/発表者名
      Miyanaga Akimasa、Kudo Fumitaka、Eguchi Tadashi
    • 雑誌名

      Current Opinion in Chemical Biology

      巻: 71 ページ: 102212~102212

    • DOI

      10.1016/j.cbpa.2022.102212

    • 査読あり
  • [学会発表] I型ポリケチド合成酵素におけるケト合成酵素様脱炭酸酵素とアシルキャリアタンパク質間相互作用の解析2023

    • 著者名/発表者名
      千菅太一、宮永顕正、工藤史貴、江口正
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023年度大会
  • [学会発表] マクロラクタム抗生物質クレミマイシン生合成における脱水酵素とアシルキャリアタンパク質間の相互作用解析2023

    • 著者名/発表者名
      小田切楓、川﨑大輔、千菅太一、宮永顕正、工藤史貴、江口正
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023年度大会
  • [学会発表] マクロラクタム抗生物質ヒタチマイシンの生合成研究2022

    • 著者名/発表者名
      宮永顕正、高橋壯太朗、川村紘一、栗原将平、中澤雄一郎、岩井南会子、南雲陽子、臼井健郎、工藤史貴、江口正
    • 学会等名
      第64回天然有機化合物討論会

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公開日: 2023-12-25  

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