研究課題
循環器疾患の予防のためには強くしなやかに伸び縮みする血管を維持することが不可欠であり、これまでに桜島大根由来トリゴネリンが血管内皮細胞層から放出される一酸化窒素(NO)の産生量を増加させ、血管の収縮・弛緩を制御している血管内皮機能を改善することを明らかにした。本研究では、トリゴネリンの特性解析をおこなうことで植物体内での位置付けを解明すると共に、これまでに明らかにしたトリゴネリンのNO産生機構の全容解明をおこない、真の循環器疾患予防を実現することを研究全体の目標としている。また、最終的にヒトが摂取する食材であることから、臨床試験により血管内皮機能の向上に必要な桜島大根の最適量及び摂取期間を科学的に証明し、トリゴネリンの実質必要量を明らかにする。2020年度は、トリゴネリンの特性解析として、①-1:桜島大根にトリゴネリンが安定蓄積する理由、①-2:桜島大根に含まれるトリゴネリン量の産地別・品種別の違い、①-3:桜島大根以外の血管内皮機能改善効果を持つ食材の探索、の3項目を実施した。①-1の結果、トリゴネリン合成酵素が関与していることを明らかにでき、次年度の作物で確認をおこなう。①-2の結果、産地別としては鹿児島県内の8箇所、県外の3箇所において、品種別については4品種7農家分において、桜島大根中のトリゴネリン量の測定が終了した。①-3の結果、既に400種類のスクリーニングが終了している。当初計画以上に研究が進んだことから、次年度実施予定だった研究を前倒しでおこなっている。
1: 当初の計画以上に進展している
コロナ禍により試薬・器具の調達が難しい時期もあったが、これに対応して研究計画を練り直して実施したところ、当初計画以上に研究が進んだ。そのため、次年度実施予定だった②トリゴネリンによるNO産生機序の全容解明にとりかかっている。
2020年度の実施研究においてトリゴネリンの各種特性が明らかとなり、細胞レベルの研究に留まらず、動物モデルでの検証が必要になった。そこで新たに研究分担者の参画により、血管内皮機能に関係が深い動脈硬化をターゲットとし、動物モデルを用いたトリゴネリンの影響を明らかにする。
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LWT-Food Science and Technology
巻: 136 ページ: 110412~110421
10.1016/j.lwt.2020.110412
Nutrients
巻: 12 ページ: 1872~1872
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https://ace1.agri.kagoshima-u.ac.jp/agri0028/